2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of DNA Metalloenzymes Using a Rational Design Approach
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16K17933
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
朴 昭映 京都大学, 理学研究科, 助教 (10628556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA / 金属酵素 / ハイブリッド触媒 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はDNAのユニークならせん構造に由来する特徴的なキラル空間に着目し、この空間を高度に制御することで、新しい概念のDNA金属酵素を開発し、機能性生体分子としてのDNAを応用した持続可能な合成戦略を確立することを目標とする。本研究により、生命化学と触媒化学、DNAナノテクノロジーという多様な研究分野を融合した学際的な研究領域を開拓し、未来を先導する革新的技術として確立することを目的に掲げる。 最近申請者は、DNAのリン酸骨格にビピリジン配位子(非核酸型リンカー)を導入する方法を確立し、反応場の制御できない超分子アセンブリ型DNAハイブリッド触媒の欠点を克服した、精密制御可能なDNA金属酵素を開発することに成功している。本研究では、多様なDNA塩基配列と金属イオンの組み合わせを基盤とするDNA金属酵素ライブラリーを構築し、α,β-不飽和ケトンの水化反応不斉反応を行った結果、87%という高い選択性で生成物を得ることに成功した。自然界の加水酵素(hydratase)のように温和な条件下で水の付加反応を行う触媒の開発は非常に難しい挑戦的なテーマであるため、本研究は既知の酵素の機能をDNAで代替できる可能性を示唆する有意義な結果である。さらに、申請者が開発したDNA金属酵素では右巻きのらせん不斉を保ったまま、既存の超分子集合型DNAハイブリッド触媒とは逆のエナンチオマーが得られることも確認している(現在論文投稿中)。最近、申請者は超分子集合型DNAハイブリッド触媒を用いることにより不斉エポキシ化反応が進行することも見出している。今後は不斉エポキシ化反応のエナンチオ選択性を向上するため、DNA配列や金属-配位子錯体のスクリーニングを行う。
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