2017 Fiscal Year Annual Research Report
A fluorescence sensory system emerging through self-assembly
Project/Area Number |
16K17937
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野口 誉夫 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (00632431)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 蛍光センサ / 自己組織化 / 創発性 / 分子認識 / キラル識別 / ポリアニオンセンシング / 臨床化学検査 / 環境分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、分子の自己組織化を、分子を積み木のように積み上げる「ボトムアップツール」から、分子構造情報を分子集合体(モルフォロジー)に変換する「分子情報変換システム」と発想を転換することで、Lock-and-Key結合に基づいた従来の分子認識とは一線を画す、自己組織化の創発性を活用した分子認識系ならびに蛍光センシングシステムの創成に取り組んだ。その結果、蛍光センサ分子の自己組織化を利用したポリアニオンセンシング系の確立、並びに、ゲスト分子の分子構造情報(初期条件)によって蛍光センサの自己組織化経路が一義的に決定された結果として分子認識ならびに蛍光センシングが達成される「創発的分子認識に基づく蛍光センシング系」のコンセプト提示に至った。
さらなる応用展開を図っていた中、光学活性なゲスト化合物のキラル識別が可能となる予備結果を得た。そこでH29年度は、蛍光センサ分子の自己組織化を利用するキラル認識系の確立に臨んだ。結果として、蛍光センサと光学活性化合物との自己組織化により形成されるファイバー状分子組織体からの蛍光(強度)と光学活性化合物のキラリティー情報が相関する新たなキラル認識系を確立することができた。これは、lock-and-key結合に基づく従来型のキラル認識とは全く異なるメカニズムである。自己組織化に伴いゲスト分子のキラリティー情報が増幅され高いエナンチオ選択性を発現する。これにより、蛍光測定によるキラリティー判別やエナンチオマー過剰率の決定が可能となった。
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Remarks |
・日刊工業新聞(2017年9月26日)に本研究成果が掲載。 ・本研究課題に係る特許(2016年2月出願分)について、企業1社と実施許諾契約を締結。
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