2016 Fiscal Year Research-status Report
特殊な四重鎖構造の解析を可能とする新規化学修飾法の開発とその応用
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16K17938
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
石塚 匠 宮崎大学, 医学部, 助教 (50700085)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸 / ヒトテロメアRNA / 四重鎖構造 / 化学修飾 / 19F-NMR / フッ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
テロメアDNAから転写され生成するテロメアRNAの存在が明らかとなって以来、その構造や生体機能の解明に関する研究が盛んになされている。これまで、テロメアRNAとテロメアDNAの分子間の特殊な四重鎖構造の形成やテロメアRNA四重鎖構造の二量体の形成に関してin vitroにおいて知見はあるが、細胞内での構造やその構造特性、またはどのようなタンパク質と相互作用するかはそれを解析する技術がないために全く不明であった。そこで本研究では、テロメアRNAで構成される上述した特殊な四重鎖構造の機能解析を可能とするフッ素基を応用した化学修飾法を開発することを目的とした。本年度は設計したフッ素基修飾の合成について検討し、テロメアRNAで構成される特殊な四重鎖構造を細胞内で解析する化学修飾法の開発に成功した。その詳細は、修飾するフッ素基として、シングルピークかつ高感度な検出が期待される等価なフッ素原子を6つ有する3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル基を選択し、修飾する位置を5’末端部位、四重鎖構造のループ部位のウラシルの5位、またはウリジンの2’水酸基の3カ所として合成および解析を行った。その結果、フッ素基を5’末端修飾とする場合が最も高感度かつ高精度な化学修飾法であることを見出した。本手法を用いて、細胞環境下では特殊な四重鎖構造にどのような影響を及ぼすかをIn-cell 19F-NMRにより検討した結果、四重鎖構造の二量体の形成が優先して起こることが明らかとなった。また同時に特殊な四重鎖構造の構造特性の解析を行い、熱安定性に関する新たな知見を得た。さらに本手法による標的四重鎖構造と相互作用する小分子やタンパク質の検出にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回新たに開発したフッ素基を応用した化学修飾法により、細胞内におけるテロメアRNA四重鎖構造の解析を実現し、現時点で査読付き投稿論文に受理されているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで、開発に成功したフッ素基を応用した化学修飾法を応用し、テロメアRNAとテロメアDNAの分子間の特殊な四重鎖構造の解析に展開する。この解析は、従来の手法では解析が不可能であり、本手法は強力な解析ツールとなることを実証する。解析された知見に基づき、細胞内においてテロメアRNAとテロメアDNAの関連性およびテロメアRNA高次構造による染色体の安定化への寄与について明らかにする。
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