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2016 Fiscal Year Research-status Report

高効率ソーラー水素製造にむけた電子・正孔空間分離型光触媒の開発

Research Project

Project/Area Number 16K17944
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

後藤 陽介  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (60760783)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsソーラー水素製造 / 水分解光触媒 / 新規物質
Outline of Annual Research Achievements

La2Ta2ZrS2O8をはじめとした酸硫化物光触媒の水分解活性の向上を目的として、各種合成条件を検討した。本物質の水分解活性が低い要因として、(1)遷移金属のアンチサイト欠損または部分的な還元によるd1電子配置のカチオンの存在、(2)高温焼成による粒子の凝集、が考えられる。(1)については異価数イオンの置換による抑制が可能であることを示唆する結果が得られた。例えば、Ga3+やMg2+などの低価数カチオンをドープすることで、長波長側の吸収のバックグラウンドが低減される。これは遷移金属の還元種が抑制されたことに由来すると考えられる。(2)については、遊星ボールミルによる物理的粉砕、または、酸化物アモルファスを前駆体とし、硫化水素気流中での合成を検討し、一次粒子径が数十ナノメートル程度の試料を得ることができた。しかしながら、これらの方法で作製した試料の水分解活性は固相法により合成した試料と大差なく、他の要因によって水分解活性が律速されていることが示唆される。今後は助触媒や反応溶液の条件を精密に検討する必要がある。
平行して進めていた酸化物光触媒において大きな進展が見られた。フラックス処理、異価数イオン置換、粒径制御といった手法を複合的に活用することで、量子効率が50%を超えるチタン酸ストロンチウム光触媒を開発することができた。これは紫外光のみに応答する光触媒であるが、太陽光中にわずかに含まれる紫外光領域において高い量子効率で水分解反応を進行させることができるため、太陽光水素変換効率は0.5%程度である。ドロップキャストにより基板上に固定した場合でも粉末状の試料と同等の活性を示すことがわかり、大面積展開が安価に容易に可能であることを実証した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新規酸硫化物に着目して研究を進めたことから、各種合成方法について知見が得られた点は重要である。異価数イオンによる置換や粒径制御といった項目を検討することができた。改めて結晶構造や電子状態を見直したところ、これらの化合物は水分解光触媒のみならず、超電導や熱電変換にも応用できる可能性があることがわかった。
酸化物光触媒について大きな進展が見られた。紫外応答型の光触媒であっても太陽光水素変換効率0.5%程度に達することがわかった。酸化物光触媒について得られた知見は可視光応答型光触媒の探索においても有用な知見であると考えられる。
以上の進捗から、現在までの研究はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

酸硫化物については、助触媒や反応条件の検討といった水分解光触媒としての開発のみならず、超電導や熱電変換への応用も視野に入れて、特にキャリア密度やバンドギャップ制御に着目して物質開発を継続する。酸化物光触媒は実際の太陽光水素製造に向けた大面積展開を含めて検討する。極めて高い量子効率で水分解反応を進めることが可能であることから、オペランドXPS測定など最先端の実験技術を駆使して解析を行うことで、高効率な水分解光触媒の設計指針を与えることができると考える。また酸素生成助触媒の共担持などを検討し、量子効率が100%に近いような高効率光触媒の開発を期する。化学組成を精密に制御することで、なるべく高い量子効率を維持しつつ可視光応答する光触媒を検討する。

Causes of Carryover

各種合成条件を検討するために使用する試薬や備品などの購入を予定していた。しかしながら、同時に平行して検討していた酸化物光触媒に進展があったため、その比重を大きくした。kろえは大気中で加熱することで試料が得られるため、計画段階よりも安価に研究を遂行することが可能になり、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

高温での輸送現象測定のためのランプ加熱炉の購入、試薬をはじめ実験に用いる備品の購入、論文の英文校正、国際会議への出張、大型放射光施設への出張を予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Synthesis and Photocatalytic Activity of La5Ti2Cu(S1-xSex)5O7 Solid Solutions for H2 Production under Visible Light Irradiation2017

    • Author(s)
      S. Nandy, Y. Goto, T. Hisatomi, Y. Moriya, T. Minegishi, M. Katayama, K. Domen
    • Journal Title

      ChemPhotoChem

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • DOI

      10.1002/cptc.201700005

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] フラックス法によるAlドープSrTiO3水分解光触媒の高活性化2017

    • Author(s)
      後藤陽介、Wang Qian、久富隆史、石切山巧樹、酒多喜久、片山正士、高田剛、嶺岸耕、山田太郎、堂免一成
    • Organizer
      第97回日本化学会春季年会
    • Place of Presentation
      慶応義塾大学(横浜)
    • Year and Date
      2017-03-16 – 2017-03-19
  • [Presentation] 粒子転写法により作製したZnSe-Cu(In,Ga)Se2固溶体光カソードの光電気化学的特性2016

    • Author(s)
      後藤陽介、兼古寛之、久富隆史、片山正士、嶺岸耕、山田太郎、堂免一成
    • Organizer
      第118回触媒討論会
    • Place of Presentation
      岩手大学(盛岡)
    • Year and Date
      2016-09-21 – 2016-09-23

URL: 

Published: 2018-01-16  

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