2016 Fiscal Year Research-status Report
太陽光を利用してH2OとCO2から合成ガスを生成する人工光合成型光電極系の創出
Project/Area Number |
16K17948
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高山 大鑑 東京工業大学, 理学院, 特任助教 (40760369)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工光合成 / CO2還元 / 合成ガス / 光電極 / 金属硫化物 / 表面修飾 / 導電性有機ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,太陽エネルギーを利用してH2OおよびCO2から合成ガス(H2およびCOの混合ガス)を生成するための人工光合成型光電極系の創出を目的としている.本年度は,合成ガス生成に有効な光カソード材料の探索および高性能化を目的とした研究を行い,以下の成果が得られた. (1)合成ガス生成に有効な可視光応答性金属硫化物光カソードの探索 さまざまな組成からなる金属硫化物光触媒粉末を導電性ガラス基板上に塗布することで作成した光カソードの中で,Cu1-xAgxGaS2光カソードが,CO2を飽和させたKHCO3水溶液中において,安定なカソード光電流を与えた.気相成分を分析した結果,観測された光電流に見合った量のH2Oの還元生成物であるH2およびCO2の還元生成物であるCOが得られた.13CO2を用いた同位体実験によって,CO2が還元されることでCOが生成している科学的根拠を得た.このように,Cu1-xAgxGaS2光カソードがH2OおよびCO2からの合成ガス生成に有効であることを見いだした. (2)Cu1-xAgxGaS2光カソードの高性能化 Cu1-xAgxGaS2光カソードの合成ガス生成活性が,その表面をZnSおよびAgで共修飾することによって,飛躍的に向上することを見いだした.一方,ポリピロールなどの導電性有機ポリマーでネッキングすることによって,CuGaS2光カソードの合成ガス生成活性が向上することを見いだした.これら光カソードは,疑似太陽光照射下においてもH2OおよびCO2を還元することによって合成ガスを生成した. 以上のように,光電気化学的にH2OおよびCO2を還元することによって合成ガスを生成することができる可視光応答性金属硫化物光カソードを見いだした.さらに,その合成ガス生成活性の向上に有効な表面修飾およびネッキング法を開発することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の目標であった(1)合成ガス生成に活性な可視光応答性金属硫化物光カソードの探索および(2)表面修飾による光カソードの高性能化を達成した.さらに,平成29年度の目標の一部であったポリピロールなどの導電性有機ポリマーによるネッキングが,金属硫化物光カソードの性能向上に有効であることを実証した.以上のことより,当初の計画に沿って進捗していると言えるため,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した合成ガス生成に有効な金属硫化物光カソードを水の酸化反応に有効な可視光応答性光アノードと組み合わせることで,本研究の最終目標である水を電子源とした合成ガス生成に活性な新規光電極システムを構築する.水の酸化生成物である酸素の定量実験を行うことで,水を電子源として合成ガスが生成している科学的根拠を得る.また,本研究で発見した金属硫化物光カソードの高性能化に有効な導電性有機ポリマーによるネッキング効果の詳細なメカニズムを調査する.
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