2016 Fiscal Year Research-status Report
中空コアを有する星型高分子錯体の三次元的集積化による物質分離/変換メンブレン
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16K17959
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細野 暢彦 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定助教 (00612160)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子化学 / メンブレン / 超分子化学 / 多孔性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中空コアを有する新規星型高分子錯体「高分子グラフトMOP」を生み出し、その大面積かつ三次元的配列により、物質透過・分離・変換を実現する高機能メンブレンの開発を目指す。 平成28年度には、ケージ状化合物:MOPをコアとする新規星型高分子の合成、およびそのメンブレン作成手法の検討に注力した。重合開始部位を有する配位子をデザイン・合成し、金属イオンとの錯形成反応を介してMOPコアを合成した、その後、MOP表面よりリビング重合を開始することで、MOPを中心として合計24本の高分子が分岐した高分子グラフトMOPの合成に成功した(Divergent法)。しかし、この手法は大量合成には向かないことがわかり、別手法の開拓も続けて行った。結果、片末端に配位子部位を有する高分子を合成し、後に金属イオンとの錯形成反応を行うという別アプローチにより、全く同様の高分子グラフトMOPを合成する手法を開発した(Convergent法)。後者の方法は、高分子と金属イオンを溶液中で混ぜるだけで、任意の構造の高分子グラフトMOPを構築できる点で、大量合成に非常に有用な手法である。これらの結果は、アメリカ化学会誌へ掲載され、新聞等のメディアにも掲載された。 このようにして得られた高分子グラフトMOPは、その溶液を基板上にキャストすることにより容易に薄膜を与え、メンブレン形成に適した性質を有することが明らかとなった。Convergent法はグラフトさせる高分子を選ばないため、あらゆる高分子をMOP表面より分岐させることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、目標としていた高分子グラフトMOPの合成手法の確立を終え、次年度に予定していたメンブレンの作成まで検討することができた点で、当初の計画以上に進展していると考えている。本研究で開発した高分子グラフトMOPは、新しい分岐型高分子とも捉えることができる。開発した手法は非常に簡便に様々な分岐高分子の合成を可能にする全く新しい方法であり、論文発表と共に国際特許(PCT)の出願も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、メンブレン合成を目的として、材料の大量合成において有利であるConvergent法について詳細に検討を行い、グラフト高分子の長さ・種類・本数などにおいて最適化を図る。異種高分子から成る高分子グラフトMOPの合成にも着手する。また、将来的なメンブレン触媒反応に向けて、まずは高分子グラフトMOP単体の触媒性能について溶液反応を調査する。ガス分離性能をテストするためのガス透過度測定装置については、平成28年度中に既に準備が整っており、必要なサイズおよび厚さのメンブレンを調製後、迅速に分離性能の検討に着手する予定である。
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Research Products
(10 results)