2016 Fiscal Year Research-status Report
蜘蛛糸の構造をモチーフとした高分子材料の創製と機能発現
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16K17963
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山田 修平 近畿大学, 分子工学研究所, 助教 (00615932)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポリペプチド / ネットワークポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では蜘蛛糸を構成するたんぱく質をモチーフとして、汎用の合成高分子に種々のポリペプチド鎖を連結させた高分子の合成法を確立させる。さらに、ポリペプチド鎖の化学構造が力学強度に与える影響を明らかとし、蜘蛛糸に見られるような高強度・高伸縮性を実現した新規ネットワークポリマーの創製を目指す。 初年度はネットワークポリマーの設計と合成を中心に研究を進め、以下のような結果を得た。両末端にアミノ基を有するポリプロピレングリコールおよびポリブタジエンをソフトセグメントとして種々のポリペプチド鎖の導入を行った。蜘蛛糸ではポリアラニン鎖がハードセグメントとしての役割を担っている。ここではペプチド鎖の導入に我々がこれまでに開発してきた活性ウレタン誘導体の重縮合によるポリペプチドの合成法を用いたところ、両末端のアミノ基が重合開始剤として作用し、ポリアラニン鎖(5~20量体)が導入されたABA型のブロックポリマーが得られた。このポリマーの各種有機溶媒への溶解性、さらに熱物性を評価した。ポリマーを有機溶媒に溶解させPTFE基板上で乾燥させたところ、透明で柔軟性のあるフィルムが得られた。原料であるポリプロピレングリコールおよびポリブタジエンは粘性液体であったが, ポリペプチド鎖の導入の結果、これらがハードセグメントとして機能したネットワーク構造を形成することで流動性を失っている事が示唆される。原子間力顕微鏡の観察からハードセグメントとソフトセグメントが相分離構造を形成している事が明らかとなった。引張り試験を行ったところ、ポリアラニン鎖の導入量の増加に伴い力学強度が増加する傾向であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は予定していた蜘蛛糸をモチーフとする高分子材料のの化学合成法を確立する事ができた。またポリペプチドの化学構造と力学特性の相関についても基礎的な知見が得られているため「②おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果をもとにして、分子設計にフィードバックさせることで新規なポリアラニンアナログの設計と合成を進め、得られるネットワークポリマーの強度・伸縮性のさらなる向上を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究においてモノマー合成や高分子合成を多く行うため、それに必要な試薬やガラス器具の購入を予定していたが、研究室内の既存の試薬および器具を使う事で合成研究を進める事ができた。その結果として試薬・器具の購入に充てる費用を予定よりも抑える事ができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年の未使用分は次年度の新規モノマーの探索研究に必要となる試薬・器具の購入に充てる予定である。
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