2016 Fiscal Year Research-status Report
金属水酸化物を基板とした結晶性有機無機ハイブリッド材料の配向成長
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16K17967
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 健司 大阪大学, 工学研究科, 助教 (30750301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属水酸化物 / 金属有機構造体 / エピタキシャル成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、金属水酸化物を足場とした、金属有機構造体(Metal organic framework: MOF)のエピタキシャル成長並びに大面積での配向薄膜の形成に関する研究を行った。MOFは規則的かつ機能性に富んだ細孔を有しており、細孔内に機能性分子を導入することで、優れた電子伝導性、プロトン伝導性を示すなど、次世代電子・光学デバイスへの応用に期待されている。しかしながら、実用化の大きな課題としてMOFをデバイススケール全面で配向出来ていない事が挙げられていた。大面積で配向していないMOF薄膜では、機能性分子を包括してもその優れた特性を薄膜全体で引き出すことが出来ず、十分な効率を得るとこが出来ない。本研究では金属水酸化物の表面に存在する規則的な水酸基に着目し、MOFの有機配位子の規則性と合わせた上で、MOFの有機配位子と反応させるとこで、MOFのエピタキシャル成長に初めて成功した。 得られた結果は「Nature Materials」誌に掲載され、News&Viewでハイライトされるなど大きな注目を集めている。他にも新聞媒体を通して本研究成果が報道されるなど、得られた成果の重要性は高い。 また、金属水酸化物を足場としたMOFの合成手法を拡張することで、電極の上にMOF薄膜を形成することに成功し、電気化学的応用への利用に至った。金属水酸化物の薄膜を電極上に形成し、その金属水酸化物薄膜をMOFへ変換することで均一かつ粒子間隙の少ないMOF薄膜の形成に成功した。得られた電極上に形成したMOF薄膜を用いることで、MOFの均一な細孔を利用した、電気化学によるサイズ選択的なセンサーや触媒の開発に至った。得られた成果は「CrystEngComm」誌に掲載された。 また、以上の金属水酸化物を足場としたMOFの形成に関する成果は、国際学会や招待講演にて発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初予定していた金属水酸化物を用いたMOFの配向成長に成功し、論文として発表しただけでなく、将来的な応用展開を見越したMOFの薄膜か、電気化学分野への応用に関しても論文として発表するなど十分な成果が得られたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本手法のオリジナリティである金属水酸化物を足場として用い、多くの種類や機能性を有するMOFの配向成長を試み、その多様性に関する研究を行う。また、本手法はMOFに限らず、自己組織化単分子膜や多種結晶性有機-無機ハイブリッド材料へも適応が可能であると予想されることから、Covalent organic framework(COF)等の機能性多孔質物質のエピタキシャル成長も試みる。そして、得られる様々な種類の配向薄膜を用い、電子・光学的デバイスの開発を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は上記予算内で十分な成果を挙げることが出来たため。また、次年度は応用研究を主体的に行うため物品費が多くなると予想し、次年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、応用研究を主体とし進める。そのため、物性測定に必要な物品の購入に使用する。また、本年度、次年度に得られた成果を国際学会にて発信するために学会参加費、旅費として計上する。
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Research Products
(9 results)