2017 Fiscal Year Research-status Report
高容量・長寿命リチウムー酸素交換型新規負極材料の創製
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16K17970
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩間 悦郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90726423)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リチウム-酸素交換反応 / 可逆反応メカニズム解析 / 高容量 / 長寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、モデル材料として合成したSnO2/ケッチェンブラック(KB)およびMn3O4/KBの組成比を変化させ、複合体の形態・分散状態を変化させることで、コンバージョン反応の可逆化(長期サイクル化)に必要な条件を見出した。SnO2/KBではSnO2の割合を50-75wt%(複合体中含有KBは25-50wt%)、Mn3O4/KBではMn3O4の割合を50-70% (複合体中含有KBは30-50wt%)と変化させた複合体を合成し、電気化学測定(主に長期充放電サイクル試験)を行い評価を行った。結果、500-1000サイクル以上の長期サイクルを実現するためには、SnO2では50wt%以上、Mn3O4では40wt%以上のKBを含有する必要がある事が分かった。各々の複合体のHRTEM観察より、長期サイクルが保たれた複合体組成では、全て5-10 nm以下の結晶がKB内に内包担持されているか外表面に存在する場合も凝集せず高分散状態であった。一方、含有KB量が一定割合以下となると、特にKB外表面に凝集担持する事が確認された。これより、コンバージョン反応の可逆性を担保するためには、ナノ粒子の導電性カーボンによる完全内包が効果的であるが、外表面部に高分散担持する事も有効である事が確認された。また、in situ XAFS測定より、充放電過程におけるSn-OないしMn-O結合の消失・再生が可逆的に起こる事を確認した。XPS測定およびHRTEM測定より、コンバージョン反応の進行とともに金属酸化物より離脱した酸素がLiと結合し、Li2Oを形成している事が示唆され、Li2Oを主体とするSEI成分が金属種を覆う事で絶縁化に繋がりサイクル特性の劣化に繋がる事が分かり、先に述べた導電性カーボン中への内包構造および外表面への高分散担持による導電性確保の重要性を改めて確認する事に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度には、組成比を変化させたSnO2/KBおよびMn3O4/KB複合体を合成し、形態・分散状態の観察と、電気化学評価によるコンバージョン反応の可逆性評価の紐づけに成功した。また、コンバージョン反応における反応メカニズム解明に向けた手法として、in situ XAFSおよびXPSを組み合わせ、金属-リチウム間での酸素原子交換を示唆する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では、これまでに見出した可逆化・長寿命化の必要条件を応用し、新規負極材料の合成を試みる。多種金属種(Zn, Cu, Feなど)の導電性カーボン内包型の複合体合成がその一つである。一方で、金属-リチウム間での酸素交換反応の長期サイクルを可能とするためには、完全内包ないし高分散担持が必要となるため、一定量(40-50wt%以上)の導電性カーボンを必要とする。リチウム化(還元時)における金属-酸素結合間をより制御した化合物を探索し、より少ないカーボン量で長期サイクルが可能な負極材料の開発を試みる。また、異種炭素-炭素間へのナノ粒子担持を試みる。すなわち、他材料(例えば、非晶質炭素)と導電性カーボン(例えばKB)を混合してできる空間にSnO2などの金属酸化物を担持することで、他材料への導電性の賦与ないし金属酸化物の反応による高容量化実現を目指す。
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Causes of Carryover |
H29年度の物品購入により端数が発生したため、これを繰越H30年度に使用する事とした。
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Research Products
(6 results)