2018 Fiscal Year Research-status Report
高容量・長寿命リチウムー酸素交換型新規負極材料の創製
Project/Area Number |
16K17970
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩間 悦郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90726423)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 金属ー酸素結合の制御 / リチウムイオン電池 / 長寿命 / 可逆反応メカニズム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、これまで研究開発してきた遷移金属酸化物の一群として、反応時の金属-酸素結合間をより制御することで、内包構造なしに長期サイクルを可能とする新規化合物の探索を行った。具体的には、Li3VO4(理論容量 = 394 mAh g-1)をモデル化合物として選択し、多層カーボンナノチューブ(以下MWCNT)複合体との合成・ならびに反応メカニズム解析を行った。MWCNT 20~40 wt%を含有した、Li3VO4ナノ粒子(10-50 nm)が高分散担持したナノ複合体化合物の合成に成功した。このLi3VO4/MWCNTは、昨年度までのSnO2/KB, Mn3O4/KB(いずれもKB含有率50wt%以上)と比較して含有カーボン率が低いため、複合体あたりの容量ではSnO2/KBと同等程度の値を示す一方で、電極密度の点で優れている。またナノ粒子が内包されず外部に露出した複合形態を取っているにも関わらず、1000サイクル以上の長期サイクルにおいて95%以上の容量維持率を保つことに成功した。in situ XANES解析よりV3+とV5+間で可逆な価数変化が起こること、またin situ EXAFS解析より、充放電に伴う金属(V)-酸素(O)結合間の変化が1~2オングストローム間で可逆的に変化することを確認し、長期サイクルにおける金属-酸素結合間制御の重要性が示された。さらに、 ex situ / in situ XRD解析より、初期充放電過程において化合物中のカチオン(Li+やV5+)が乱雑配列するカチオン・ディスオーダー(カチオン無秩序構造)に変化し、この構造によって可逆的にLiを脱挿入可能となる反応機構を明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度には、SnO2やMn3O4に代わる化合物としてLi3VO4/MWCNTナノ複合体の合成し、Li3VO4の可逆特性を引き出すことに成功した。さらにin situ測定手法を駆使することで、Li3VO4ナノ複合体がもつ可逆充放電メカニズムの解明に成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
H30年度に見出したLi3VO4は、可逆性を引き出すためには、構造中へのLi脱挿入を繰り返すことで、カチオンを無秩序化させる必要がある。このためには、電気化学的な制御(電極化・セル組み立て・充放電)が必要不可欠であり、非常に煩雑な手法を必要とすると言わざるを得ない。今後は、電気化学手法を経ず、カチオン無秩序化したLi3VO4粉末を直接的に合成可能な手法の確立を目指す。また、H30年度に引き続き異種炭素-炭素間へのナノ粒子担持を試みる。すなわち、他材料(例えば、非晶質炭素)と導電性カーボン(例えばKB)を混合してできる空間にSnO2などの金属酸化物を担持することで、他材料への導電性の賦与ないし金属酸化物の反応による高容量化実現を目指す。
|
Causes of Carryover |
H30年度の物品購入により端数が生じたため、これを繰越H31年度に使用することとした。
|
Research Products
(15 results)