2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of two-photon photoelectron yield spectroscopy towards determination of energy of transient species
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16K17975
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
細貝 拓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (90613513)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光電子放出 / 励起子 / 二光子吸収 / 光電子収量分光法 / 時間分解測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる本年度は、昨年度に報告した二光子光電子収量法の原理を実証するべく、短レーザパルスの白色光による二光子光電子閾値分光を検討を行った。白色光の生成はパルスレーザの非線形効果を用いて検討した。始めに昨年度の原理実証に用いた150ピコ秒のパルス幅を持つNd:YAGパルスレーザの第2高調波をガラス基板に集光して白色光の生成を試みた。しかし、ガラス基板が焼け付くほど集光しても白色光の生成は明確に確認できず、本パルスレーザの使用を断念した。そこで、100フェムト秒のパルス幅を持つTi:Sapphireフェムト秒レーザを用いた実験にシフトした。フェムト秒のレーザ光をサファイア基板上に集光することで白色光の作製に成功した。これをバンドパスフィルターを用いて試料である有機半導体ペンタセン(C22H14)薄膜の吸収波長にあわせ、低真空化での二光子光電子放出の遅延時間依存性の実験を行った。時間原点がゼロの二つのパルスを合わせることで、瞬間的な電流値の増加を確認した。ただし、以降遅延ステージを用いてゼロ以上の遅延時間を検討したところ、電流値は観測されず、またその後に同照射スポットにおいて再現実験を行ったが電流値増加の再現は得られなかった。未照射のスポットでも試行しところ、同様な結果が得られた。その後、試料をチャンバーから取りだして確認したところ、基板に用いた試料に変色の後が見られた。この箇所はフェムト秒のレーザ照射によって試料または基板自体に変性が起こったことが原因と考えられる。フェムト秒のパルスレーザは短パルスのエネルギーが強すぎるため、多重光電子放出が起こりペンタセン薄膜試料が分解したことが予想できる。つまり、提案した原理を最終的に実証するには、フェムト秒パルスを強力に減光するか、またピコ秒レーザによる白色光を用いるなど、光強度を考慮した検討が必要であることが判明した。
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Research Products
(3 results)