2017 Fiscal Year Research-status Report
傾斜機能層を利用したハイブリッド表面改質による高強度バイオマテリアルの創製
Project/Area Number |
16K17986
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
中村 裕紀 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (10612939)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超高サイクル疲労 / ハイドロキシアパタイト / チタン合金 / 傾斜機能層 / ショットピーニング / 溶射 / アコースティックエミッション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度より引き続き,ハイドロキシアパタイト(HAp)粒子を用いたショットピーニング材,HAp溶射材,HAp粒子を用いたショットピーニング後にHAp溶射を施した材料について応力繰返し数10^9におよぶ回転曲げ疲労試験を実施し,超高サイクル域の疲労試験データの取得を行った.その結果,各種試験片ともS-N曲線に明瞭な折れ点が現れる疲労限度型のS-N特性を示した.各試験片の疲労限度を比較すると,HAp粒子を用いたショットピーニング材の疲労限度が最も改善した.これは,ショットピーニングにより被処理面に高い圧縮残留応力が生起し,さらには加工硬化も生じたためと考えられる.一方,HAp溶射材およびHApピーニング後にHAp溶射を施した材料については,疲労限度は未処理材と比較してほぼ同程度の値を示し,大きな改善効果は認められなかった.HAp溶射材については前処理としてブラスト処理を施しており,これにより基材表面近傍に圧縮残留応力の生起および加工硬化は生じるが同時に基材表面が粗面化する.この粗面化した凹部よりき裂が容易に発生することで疲労強度の改善効果が得られなかったものと考えられる.HApピーニング後にHAp溶射を施した材料については,予めブラスト処理により粗面化した基材表面粗さがHApピーニングを施して改善されてしまったことでHAp溶射皮膜と基材の密着強度が低下したため疲労強度の改善効果が得られなかったと考えられる. また,アコースティックエミッション(AE)法より各種試験片の回転曲げ疲労破壊挙動の解明を試みたが,回転曲げ疲労試験では試験片が回転するためAEセンサの取り付けが困難であった.そこで,試験片の軸方向に引張圧縮の負荷を与える軸荷重試験においてAE信号の取得を試みた結果,チタン合金の疲労き裂の発生をAE法を用いて捉えることが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AE法により基材であるチタン合金のき裂発生の信号を取得することに成功したが,溶射皮膜のはく離を表すAE信号については未だ検出できていない.したがって,HAp溶射材およびHApショットピーニング後にHAp溶射を施した材料の疲労破壊挙動をAE法により解明できていないことからやや遅れていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
軸荷重疲労試験により,試験片軸方向に引張圧縮の繰返し荷重を与えて各種試験片について疲労試験データを取得し,これまでに取得した回転曲げ疲労試験の結果と比較して荷重様式による疲労強度改善率の変化を調べる.また,疲労試験中におけるHAp溶射皮膜と基材のはくり離をAE法により検出し,破断に至るまでのき裂の進展挙動を調査する.さらには擬似体液中などの体内環境を模擬した状況下で疲労試験を実施する.
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Causes of Carryover |
今年度はハイドロキシアパタイトの溶射を外注することがなかったため次年度使用額が生じてしまった.次年度は試験荷重方式を変えた疲労試験を行うために新たに試験片を作製し,これにハイドロキシアパタイトの溶射するための外注費として使用することを考えている.
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Research Products
(2 results)