2016 Fiscal Year Research-status Report
超音波援用MCF研磨による複雑微細形状の超精密仕上げ加工に関する研究
Project/Area Number |
16K17998
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
野村 光由 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (70325942)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 磁気混合流体(MCF) / MCFスラリー / 超音波振動 / 精密研磨 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体や各種電子機器などの製造分野において,部品の小型・軽量化のために微細加工の需要が増えてきている.また半導体や各種電子機器のさらなる極小化,多機能化により直径百μm以下の微小径工具(ドリル,エンドミル等)による穴加工や高精度の金型を高能率に作製する微細切削の要求が高まりつつある.しかし,微小径工具による微細切削では,高精度の表面粗さなどを実現するのが非常に困難である.また,使用する工具径によらず切削後のバリ取りおよびエッジの仕上げなどを行う必要性もある.このような背景の下で,微小径工具による微細切削後の複雑微細形状を持つ加工面を高能率・高精度に仕上げる加工法が強く求められている. 本研究では,超音波振動を援用した磁気混合流体(Magnetic Compound Fluid:MCF)研磨による高能率・高精度仕上げ加工を提案し,この新しい加工法の開発および実用化を目的とする. 本年度は,超音波援用MCF研磨を可能とする実験装置の試作と,その基本加工特性の評価を行った.得られた結果を以下に示す.1.超音波楕円振動を発生できる超音波振動ユニットを設計・製作した.2.超音波振動ユニットと研磨ユニットから構成される超音波援用MCF研磨装置を試作した.3.超音波援用MCF研磨により,従来のMCF研磨と比較して,表面粗さの改善や材料除去量の向上が大きくなることを明らかにした. 以上の結果より,超音波援用MCF研磨は有効であることが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況は,当初の計画通り進んでいるため,引き続き計画に合わせて研究を進める.
|
Strategy for Future Research Activity |
①超音波援用MCF研磨装置の基本的な研磨特性の評価:研究の目的でもある超音波援用MCF研磨による高精度・高能率加工を実現するために,MCF研磨液,MCF研磨液の供給方法,磁場の印加方法,超音波振動振幅,加工パラメータなどを最適化して,より精度の高い条件を選定する.以上により克服すべき課題3の要求を満たす. ②超音波援用MCF研磨における研磨モデルの解析:FEM解析など解析ソフトを使用して,超音波援用MCF研磨装置の研磨メカニズムの解析を行い表面粗さの改善や材料除去量の向上などのメカニズムを調査する.また,研磨後の加工面をSEMなどで観察し,超音波援用MCF研磨における研磨モデルを作成し,その解析も合わせて行う. ③MF,MRFおよびMCF研磨との比較実験: 実際に今回提案した超音波援用MCF研磨と超音波援用しないMCF,MFおよびMRFの研磨特性を比較しなければ,超音波援用MCF研磨装置の有用性を明確にすることができない.そこで,超音波援用有り・無しで性能比較をおこない超音波援用の効果を調べる.そして,研磨液にMFおよびMRFを使用して超音波援用MCF研磨装置で同様の実験を行う. 以上より,微細複雑形状における超音波援用MCF研磨の有効性を明らかにし実用化を目指す.
|
Causes of Carryover |
磁場の印加方法における電磁石タイプのMCF研磨ユニットの製作を次年度に変更した.また,超音波振動ユニットの製作において,今後の仕様変更も考慮に入れて,プロトタイプの作製数を減らしたことによるものである.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由に合わせて予算を計画のとおり執行する.
|