2016 Fiscal Year Research-status Report
個体差を有しない竹歯車の成形方法の確立とその動的性能の向上
Project/Area Number |
16K18005
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
越智 真治 新居浜工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (20390388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機械要素 / 歯車 / 竹粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,竹粉を用いて歯車を作製し,現在使用されているプラスチック歯車に匹敵する性能を有する竹歯車を新規開発することである.明らかにすべき点として 1,個体差を有しない竹歯車の新しい成形方法を確立すること 2,より低騒音な竹歯車を創製し,動的性能を向上させること 3,様々な環境下で動力試験を実施し,竹歯車の耐久性を明確にすることである.28年度は,1,の個体差を有しない竹歯車の成形条件を確立することを目的とし,成形前の含水率からアプローチをした.これは,竹は植物であり,保管中に大気中の水分を吸収し,その竹粉に含まれる水分が成形材料の特性に影響するのではないかと考えたためである.日本には四季があり,梅雨で多湿な時や冬の乾燥している低湿な季節もある.このため,成形前の竹粉を定温乾燥機および低温恒温恒湿装置を用いて湿度0%,50%,90%の雰囲気をつくり,そこで竹粉を処理して異なる含水率の竹粉を準備し,成形を行い,成形後の引張強度特性と曲げ強度特性を調査した.その結果,湿度を50%として処理した竹粉を用いた成形体が,強度特性に優れることがわかった.竹粉の成形前の含水率を調整して強度を比較した研究結果は申請者が知る限り見られず,竹粉を利用した成形材料における重要な結果を見いだしたと考えている.また,この竹粉を用いて歯車を加工し,かみ合い精度を測定したところ,11級で安定して歯車を成形することができた.これは,同じ条件で加工したPOM歯車と同等の精度であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は個体差を有しない竹歯車の成形条件を確立することを目的とし,強度特性に及ぼす竹粉に含まれる含水率の影響を調査した.定温乾燥機および低温恒温恒湿装置を用いて湿度0%,50%,90%の雰囲気をつくり,そこで竹粉を処理して異なる含水率の竹粉を準備し,成形を行い,成形後の引張強度特性と曲げ強度特性を調査した.湿度,0%,50%,90%にさらした竹粉の含水率はそれぞれ,0.4~0.6%,7.0~7.3%,12.7~13.6%となった.その結果湿度を50%として処理した竹粉を用いた成形体が,強度特性に優れることがわかった.また,この粉末を用いて歯車に加工し,かみ合い精度を測定した所,11級で安定して歯車を成形することができた.また来年度,実際に作製した竹歯車をかみ合せ,負荷をかけて動的な試験を実施するための準備として,歯車試験機のまわりをハウジングして,JISで定められた環境(室温23℃,湿度50%),高温多湿(25℃,60%),低温低湿(16℃,40%)にする温度調節および湿度調節をするための簡易的な恒温恒湿装置の作製も行い,次年度実施予定の動力試験の準備も実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,2,低騒音な竹歯車を創製し,動的性能を向上させること 3,様々な環境下で動力試験を実施し,竹歯車の耐久性を明確にすること.この2つについて取り組む予定である.2,の歯車の動的な性能の向上を目指して,より低騒音な歯車の作製をするためには,成形条件によって変わると予測している,騒音には歯車の歯面の粗さ,摩擦係数が影響してくるため,成形の温度,時間から騒音と粗さおよび摩擦係数の関係を評価し,より低騒音な歯車の成形条件を明確にする.また,JISで定められた環境だけでなく,夏(高温多湿),冬(低温低湿)の環境をつくり,その中で,動的な試験を実施して,その際の歯車の発熱,騒音,摩耗などを測定するとともに実際に使用されているPOM歯車との比較を行う計画である.
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