2016 Fiscal Year Research-status Report
全混相流場対応の高時間分解せん断応力計の開発と摩擦抵抗低減メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K18006
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
大石 義彦 室蘭工業大学, 工学研究科, 助教 (90617078)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 流体工学 / 乱流 / せん断応力 / 摩擦抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は局所せん断応力を高時間分解能でかつ単相の流体のみならず混相流のせん断応力を測定可能にした応力計の開発と混相流応力の正確な指標を作る目的にレーザー応力計の設計を目指した.設計した応力計はレーザー応力計は変位を検知するセンサー可動部とドップラー変位によるビート信号検出のための光学系と応力に分かれる.変位を検知するセンサー可動部は流体の流れる壁面に触れ(流体接地部),センサーを水平方向にスライドさせることで流れ方向のせん断応力のみ直接計測するシステムとなっている.受光装置によって得られたビート信号は信号増幅器で倍増され,バンドパスフィルタによって75~99 kHzの周波数を抽出する.信号処理器の設定を90 kHzに調節し,抽出したビート信号をDC変換し,データロガに記録する.ビート信号周波数の変化がセンサー受感部の変位となるため,検量線を用いて受感部の面積当たりにかかるせん断応力を導出できる.本研究では単相流におけるチャネル壁面せん断応力測定を行った.チャネルは流れの可視化のため透明なアクリル製である.チャネル全長は6000 mm,断面は高さ20 mm,幅160 mmの矩形流路である.計測位置は十分発達した領域を計測するためチャネル先端から3750 mmとする.流れの無い状態とポンプを流した際の単相流状態の水平チャネルにおける実験方法を解説する.水の流量はインバータ制御より,面積式流量計により流量を確認しながら実験を行った.水流量,水温,信号処理器からの電圧をデータロガで記録した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発の基礎となるのは変位を検知するセンサー可動部とビート信号を作るドップラー発生器である.センサ可動部は流体の流れる壁面に触れ(流体接地部),センサーを水平方向にスライドさせることで流れ方向のせん断応力のみ直接計測するシステムとなっている.ドップラー発生器は回転板を用いているため光散乱で検知するシステムに不具合が生じやすく誤差要因が特定しにくい.発生する誤差は混相流と単相流とのわずかな応力の違いや乱流時の縦渦が測定面を通過する時のスパイク波形を区別しにくくする.1年目では実験装置の応力測定部分のセンサは完成し,平均値では高い精度が確認された.しかし,振動を捉えるための散乱板の精度が検知するビート信号の誤差を発生しやすく,回転可動部の振動を制御する作業の確認にかなりの時間を要した.これらの測定誤差の特定には至ったが設計変更や解析方法に新規性が発生したため予定より進捗が遅れている.ただ,すでに原因が特定されたため新年度からの進捗に期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平均値のデータの精度はこれまでにない高精度のせん断応力が測定できた.特に60秒以上の測定データがなければ平均値が取れなかったセンサが,本研究によりわずか4秒間で同等以上の精度が得られた.今後は気泡流に適用することで摩擦抵抗低減をより詳細に判別するための実験に移行することができる.また,誤差解析を追加することで瞬時の応力変化を確認することができるため,乱流中の縦渦通過時の応力変化と気泡と干渉した渦との違いを比較することができる. 特許性のある原因が特定されたため,技術的な問題は解決した.混相流の中で最も摩擦抵抗の増減に注目を集めている気泡流のせん断応力計測を実施する.気泡のサイズやボイド率の変化をコントロールするシステムを適用し,混相流と単相流のわずかな変化を捉えることで摩擦抵抗増減の境界を特定する.
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Causes of Carryover |
せん断応力計は自ら設計検討をして製作している.最初の試作設計で取得した実験データを元に検討し計測機器に目的を達成が困難なレベルの誤差が発生したた.期間中に誤差要因となる装置の特定がかなり困難であったが,主に.詳しい原因が特定されるまで設計変更が必要であった.設計変更が原因で計測装置の発注が遅れたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月上旬までには設計に反映する予定であったが,前倒しをして4月中に改善する内容が決定したためすでに設計変更済みの装置を注文した状態になっている.
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Remarks |
本研究においての発明の特許の出願手続き中で,現在学内の審査を受けている.
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