2016 Fiscal Year Research-status Report
複雑形状近傍の超臨界熱流動における温度場解像度を飛躍的に向上させる数値解法の開発
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16K18007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古澤 卓 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (80637710)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 数値流体力学 / メッシュレス法 / 自然対流 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,超臨界二酸化炭素や超臨界水は発電システムの作動流体や熱交換器での使用に留まらず,微粒子生成や抽出,薄膜生成など化学プロセスにも広く使用され,エネルギー効率や環境面の優位性からさらなる利用の拡大が期待されている.これらの産業利用において使用される熱交換器や化学反応器,微細空間積層では三次元構造や接合部等の複雑な形状を持ち,さらにそのほとんどで加熱または冷却のプロセスが存在する.特に臨界点近傍では壁面から加熱や冷却において温度境界層が薄くなることが知られており,複雑形状内部の超臨界流体の熱流動を高精度解析可能な計算手法の確立が急務となっている.これまでの研究での直交格子を用いた超臨界流体の流動解析では壁面からの加熱,冷却および固体壁面内の熱伝導の考慮および妥当性の検討がなされていなかった.本研究では,超臨界流体流動における温度境界層の解像度を飛躍的に向上できる任意形状周りの超臨界流体の流動解析手法を提案することを目的とした.本年度は直交格子法とメッシュレス法に基づく計算手法を用いた壁面再現において,二次元熱対流のための数値解法を構築した.常圧条件において二次元水平円柱内部の自然対流問題に提案した手法を適用し,それぞれの結果を比較したところ,提案した手法を用いることで曲率を持つ円管内部の自然対流を十分に評価することができることが確認できた.また臨界点近傍の条件,超臨界条件について計算を行い,それぞれの結果を比較した.また,加熱および冷却を伴う直管および湾曲管内における超臨界二酸化炭素の強制対流の熱流動の計算を行い,臨界点近傍における密度変化による浮力の影響を評価した.また,一部の計算では三次元解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は直交格子とメッシュレス法に基づく超臨界流体の熱対流解析手法を構築し,工業利用における実流路中の加熱および冷却を伴う超臨界流体の流動解析を行うことで,様々な条件における超臨界水および超臨界二酸化炭素の詳細な熱流動を解明することである.直交格子法とメッシュレス法に基づくハイブリッド手法を用いた壁面再現において,二次元熱対流のための数値解法を構築した.また,常圧条件において実験値および既存の結果と比較することで本手法の妥当性を評価した.さらに超臨界条件,臨界点近傍の条件における低レイリー数から高レイリー数までの数値計算を行い,臨界点近傍の熱物性値変化による影響を評価した.また,上記の手法を三次元に拡張し,一部の計算では三次元熱対流問題に適用し,三次元流動の評価を行った.壁面内の熱伝導問題への適用については未解明となったものの,上記の内容は当初に計画していた問題をほぼ解決しており,上記のような評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における最終目標は工業利用における実流路中の加熱および冷却を伴う超臨界流体の流動解析を行うことで,様々な条件における超臨界水および超臨界二酸化炭素およびその他の超臨界流動の詳細な熱流動を解明することである.そこで,昨年度までに構築した直交格子とメッシュレス法に基づく超臨界流体の熱対流解析手法を実問題における熱流動に適用することを予定している.まず,火力発電用配管内部における超臨界水の加熱流動解析を行い,臨界点近傍における壁面加熱近傍の熱流動の解明を行う予定である.管路内の凸凹形状も再現することで,実形状における臨界点近傍の超臨界水の熱流動を解明する.また,圧力条件,温度条件による流動の違いを分類することで,臨界点近傍の熱物性値変化の影響を整理する.次に今後ロケットエンジンやスクラムジェットエンジンの再生冷却において使用が検討されている超臨界メタンや超臨界条件のケロシンの熱交換器内部の熱流動の解明に本計算手法を適用する.特に超臨界流体は数Kの温度差で密度が急激に変化することが知られており,わずかな温度差が流動に強い影響を与えることが予想されるため,様々な条件における熱流動を解明する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は前年度使用額の1%以下であり,ほぼ当初の計画通りに助成金の使用を行った残金である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画として,次年度使用額(B-A)は計算機使用料として使用する予定である.
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Research Products
(5 results)