2017 Fiscal Year Research-status Report
高密度MEMSマイクロフォンアレイを用いた壁面乱流圧力変動場の時系列計測
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16K18010
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中 吉嗣 明治大学, 理工学部, 専任講師 (10723421)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乱流計測 / 圧力変動 / 乱流構造 / マイクロフォンアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はマイクロフォンアレイの多チャンネル化について,前年度に製作した14chのマイクロフォンアレイを56chへ拡張した。回路設計を工夫することで,測定対象に合わせて様々パターンでマイクロフォンを配置可能であることを確認した。データの伝送と記録について,2chのマイクロフォンデータを,2.5 MHzのリファレンスクロックに同期して1 bitのデータ列で伝送し,56ch分を32 bitバイナリデータ列に格納してFPGAに接続したSSDに保存した。新たに製作した56chマイクロフォンアレイについて,個々のマイクロフォンの周波数応答特性を実験的に決定した。この際,同時にマイクロフォン出力のデジタルデータと実際の圧力値の対応を検定する手法を提案した。圧力測定値はこの検定データによって決定されるため,引き続きその信頼性を高める必要がある。作成したマイクロフォンアレイを用いて,圧力変動の多点同時測定が可能であることを検証するため,マイクロフォンアレイを乱流境界層が発達する平板上に固定した実験装置を製作した。これを用いて,比較的低レイノルズ数の乱流境界層において,壁面圧力変動多点同時計測を行った。測定データから,乱流境界層における圧力変動の変動強度やパワースペクトルを評価し,その測定値の妥当性を確認した。これらの内容について,国内の学術講演会において口頭発表を行った。また,多点同時測定結果から,圧力変動の2点相関の空間的な分布を評価した。圧力変動の2点相関は乱流の平均的な渦構造を反映しており,本手法により壁面乱流圧力変動と乱流構造の関係の解明が進むことが期待される。また,多点同時計測データを活用して,壁面乱流圧力変動場と瞬時の乱流構造との関連を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の課題であったマイクロフォンアレイの多チャンネル化について,前年度開発した14chのマイクロフォンアレイを拡張して,56chのマイクロフォンアレイを構築した。新たに製作した56chのマイクロフォンアレイについて,その周波数応答特性およびマイクロフォンデータと実際の圧力値の関係を実験的に決定した。また,マイクロフォンアレイを平板上に固定し,乱流境界層における圧力変動の多点同時測定のための実験装置を構成した。作成したマイクロフォンアレイの性能を評価するため,比較的低レイノルズ数の乱流境界層において,壁面圧力変動多点同時計測を行った。測定データから,乱流境界層における圧力変動の変動強度やパワースペクトルを評価し,その測定値の妥当性を確認した。また,多点同時測定結果から,圧力変動の2点相関の空間的な分布を評価した。圧力変動の2点相関は乱流の平均的な渦構造を反映しており,本手法により壁面乱流圧力変動と乱流構造の関係の解明が進むことが期待される。また,多点同時計測データを活用して,壁面乱流圧力変動場と瞬時の乱流構造との関連を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,前年度に製作した56chのマイクロフォンアレイをさらに発展させる。現在FPGA1台につき56chのマイクロフォンアレイの制御が可能となっている。この56chのマイクロフォンアレイの配置を測定対象となる乱流のスケールに対して最適化するため,28chのマイクロフォンをペアにし,位置をマイクロフォンの半幅分ずらして互い違いに配置することで,空間分解能を高める試みを行う。また,より多くのマイクロフォンを用いた同時計測を行うために,複数のFPGAを同期させる,もしくは,より多くのデータ入出力端子を持つFPGAを用いる等の手法を導入する。乱流境界層における圧力変動場と乱流構造の関連を明らかにするため,乱流境界層風洞において,圧力変動場と速度場の同時計測を行う。様々な流れ場での圧力変動場測定に向けて,フレキシブル基板上へマイクロフォンを実装する。具体的には,銅箔コーティングされたポリイミドフィルム基板上にマスクレス露光装置で描いた回路パターンを微細エッチング加工することで,マイクロフォンアレイの配線パターンを形成する。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用状況により\13,562の繰越金が生じた。これは,平成30年に使用予定の消耗品費と併せて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)