2016 Fiscal Year Research-status Report
乱流・非乱流界面における乱流と波動の干渉メカニズムの解明
Project/Area Number |
16K18013
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 智昭 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70772292)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乱流 / 密度成層流 / 圧縮性流れ / 内部重力波 / 圧力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,(1)安定密度成層中に発達する乱流から非乱流流体中に放出される内部重力波の発生機構と内部重力波の放出に伴う乱流の変化の数値シミュレーションによる解明,(2)亜音速流れにより生じる音波に伴う圧力変動が乱流の空間発展に与える影響の実験・数値シミュレーションによる解明を目的として行われている.以下に,本年度の研究の進捗について述べる. 研究目的(1)に関して,安定密度成層中に発達する局所乱流塊に関する直接数値計算を行い,乱流データベースを構築した.密度こう配が乱流内部にのみ存在する場合,乱流領域と非乱流領域は渦度によって判別できることが明らかになった.このような流れ場において,浮力の影響が乱流と非乱流領域の境界(乱流・非乱流界面)で強くなり,乱流・非乱流界面近傍の乱流特性は乱流のコア領域と大きく異なることが明らかとなった.一方,密度こう配が乱流外部にも存在する場合,乱流から内部重力波が放出されることが確認された.このような内部重力波の放出を伴う乱流場において,浮力の影響を直接的に受けないポテンシャル渦度を用いて乱流領域を検出できることが明らかとなった.また,内部重力波が乱流・非乱流界面から放出されることで,乱流・非乱流界面近傍の乱流特性が大きく変化することがわかった. 研究目的(2)について,ピストンによる圧縮空気を高速で噴出し噴流を形成する装置を製作した.同装置により形成された流れ場をシュリーレン撮影法により可視化した結果,本実験装置によって亜音速~超音速域の噴流を形成できることが明らかとなった.また,圧縮性二次元噴流の大規模直接数値計算を行い,噴流内部の統計的特性に噴流から放出された圧力波が及ぼす影響について調査した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
密度成層乱流と圧縮性乱流のそれぞれについて直接数値計算法 (DNS) の数値計算コードを構築し,大規模数値計算を行った.また,圧縮性噴流実験装置を開発し,その基本的な特性に関する実験を実施した.こうした実験・数値計算から,内部重力波や圧力波と乱流・非乱流界面近傍の流れ場の特性の関係が明らかとなった.これらの成果のいくつかは既に学術論文や国際会議で発表されているため,研究は当初の計画以上に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において,密度成層乱流の大規模直接数値計算データベースが構築された.今後はこのデータベースの統計処理を行うことで内部重力波が乱流・非乱流界面に与える影響の解明を目指す.特に,界面を通した非乱流流体の取り込みと内部重力波による運動エネルギの放出について詳細に調べ,計算結果を既存の乱流モデルと比較することで,数値計算に用いられる乱流モデルの検証を行う.さらに,乱流と内部重力波の干渉を考慮した新しいモデルを提案し,数値計算に応用することを試みる.また,圧縮性噴流の大規模直接数値計算データベースに関しても統計処理を行う.さらに,数値計算結果を噴流に関する実験結果と比較することで,乱流・非乱流界面近傍における乱流と圧力波の干渉メカニズムとそのレイノルズ数依存性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初の予定より小型な実験装置を製作したため当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測関連の消耗品に充てる予定である。(流れ可視化用光学系)
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