2016 Fiscal Year Research-status Report
特性時間スケールに基づくブリッジ関数を導入した乱流予混合燃焼モデル
Project/Area Number |
16K18026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
源 勇気 東京工業大学, 工学院, 助教 (70769687)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乱流燃焼 / 乱流燃焼モデル / ブリッジ関数 / 火炎干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は数値的・実験的手法による燃焼場の情報を用いて、伝播火炎干渉の熱発生への影響及びその動的特性の解明を行った。具体的には伝播する2つの火炎の1次元直接数値計算(DNS)を用いた数値的解析により、伝播火炎の干渉領域が、拡散現象により支配される伝播ではなく、化学反応速度が支配的な、自着火に近いモードで燃焼反応が進むことを解明した。これは、多くの乱流燃焼モデルが伝播火炎の重ね合わせを仮定しているのに対し、低環境負荷燃焼条件では、局所的な自着火タイプの燃焼形態を考量する必要があることを示唆している。また、ガスタービン燃焼器内乱流燃焼に近い形態の3次元旋回乱流燃焼DNSの結果やディーゼル燃焼を模擬したDNS結果、MILD燃焼DNS結果などの複数のDNS結果を用い、火炎干渉過程を詳細に解析し、層流火炎干渉が局所燃焼速度へ与える影響を定量的に明らかにするとともに、本研究で開発するモデルに用いるブリッジ関数内で考慮するために必要な特性時間・長さスケールとの関係を解明した。実際の燃焼器同様、旋回乱流燃焼場では、各種乱流スケールが局所的に大きく異なっており、これらの幅広い乱流条件において、火炎と乱流の干渉機構のみならず、火炎同士の干渉も考慮した乱流燃焼モデルを考案した。考案した乱流燃焼モデルを適用して、実験旋回流バーナを対象としたReynolds averaged Navier-Stokes (RANS)解析を実施し、粒子画像流速計(PIV)及びOH 平面レーザー誘起蛍光法(PLIF)を用いて実験的に計測された速度場、スカラー場と比較した。数値解析結果と計測結果は定性的に良い一致を見せており、ブリッジ関数による乱流燃焼モデルが当初の目的を果たしていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、数値的及び実験的手法による火炎干渉機構の解明や関連する物理量の考察が初年度の目標であったが、これらの解析結果に基づいた、ブリッジ関数を用いた乱流燃焼モデルを提案し、これを用いた試計算を行った。今後は、このモデル手法を基本とし、開発した乱流燃焼モデルを発展させる予定であり、それにはさらなる解析・検討が必要となるが、既に次年度に行う予定であったモデル開発の一部を初年度に行ったという点で、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を前倒しで遂行しているが、今後の研究も研究計画に則り遂行する。具体的には、初年度得たDNS結果にChemical Explosive Mode解析を適用し、火炎の干渉領域のより詳細な解析を行うほか、これらの物理現象をより簡潔にモデルに反映させる手法について検討する。
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