2016 Fiscal Year Research-status Report
電極単一層化による新たな燃料電池輸送反応場の構築に向けたその場計測と構造設計
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16K18028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90711630)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 電極 / マイクロ流路 / 物質輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体高分子形燃料電池の電極単一層化が物質輸送の観点から性能に及ぼす影響を明らかにするための研究を行っている.これまでに,マイクロ流路と単一層電極を用いて流路下及びリブ下の発電性能を評価するためのセルを構築し,性能試験を行った.また,リブ下電極における酸素透過計測によりガス輸送特性評価を行った. 流路下及びリブ下の発電性能評価においては,微細加工技術を応用して単一のマイクロ流路またはリブを有するセルを作製した.流路幅及びリブ幅を変えたセルを用いて発電性能試験を実施し,面方向の電子輸送に起因する抵抗過電圧を補正したセル性能の流路幅依存性を外挿することにより,流路直下と流路周辺リブ下部の電極における発電性能への寄与を分離して評価した.この結果,現行の電極を用いた場合には,流路直下の電極が発電の大部分を担い,周辺リブ下の電極はほとんど発電に寄与しないことが示唆された. 以上の結果について物質輸送の観点からの定量的検討に向けて電極内のガス輸送特性を評価するために,単一リブの評価セルを用い,リブの両側に位置するマイクロ流路のうち片側に酸素分圧の高いガスを,もう片側に酸素分圧の低いガスを供給し,両流路の出口において酸素分圧の計測を行った.あらかじめ酸素輸送に影響を及ぼす因子である電極厚さや空隙率が既知の電極を用いて計測を行った結果,流路入口から出口にわたって拡散によって輸送されることにより変化する酸素分圧の計測値は,電極やセルの諸条件から推定される値と良好な一致を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は単一層電極の固体高分子形燃料電池において内部の輸送現象が評価可能なセルを開発し,性能試験を重点的に行った.当初計画していた評価セルの作製を実現し,発電性能試験に基づく内部の物質輸送現象評価手法が確立できた.また,より詳細な電極内ガス輸送現象評価に向けた計測手法開発を進め,計測の妥当性について検証を行った.いずれも当初計画に従ったものであり,おおむね予定通りに進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,構造パラメーターを任意に設定した電極を用いてガス透過計測を実施することにより,電極構造が酸素輸送に及ぼす影響を明らかにする.また,発電状態においてガス透過計測を実施することにより,生成水が電極内部の酸素輸送に及ぼす影響を明らかにするための研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
計測系の構築に向けて詳細な検討と基礎試験が必要であったため,初年度は一部機器について既存の設備を流用したことにより,当初計画から差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測系について詳細な検討を終え,より精密な計測に向けた機器導入が不可欠であると判断した.当初計画の消耗品購入や設備利用料に加えて上記の機器購入において,翌年度分請求の助成金と合わせて次年度使用額分の助成金を用いる予定である.
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Research Products
(3 results)