2016 Fiscal Year Research-status Report
超高熱流束除熱に向けたマイクロチャネル内沸騰熱伝達の機構解明と革新技術創出
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16K18030
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢吹 智英 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70734143)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 沸騰熱伝達 / 超親水性 / ナノ構造 / MEMS / ミクロ液膜 / レーザー干渉法 / マイクロチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,①沸騰伝熱面の超親水化によるマイクロチャネル内流動沸騰の除熱限界促進と,②レーザー干渉法を用いた気泡底部の薄液膜厚さ計測系の構築を行った. ①マイクロチャネル内流動沸騰では,気泡底部に形成される薄液膜の蒸発が重要な伝熱形態であるが,壁面の濡れ性によっては,形成された液膜が蒸発によってではなく壁面にはじかれてドライアウトする撥水型ドライアウトが生じる.本研究では,マイクロナノ構造の導入で壁面を超親水化することにより,熱伝達劣化を誘発する撥水型ドライアウトを防止して,安定的な薄液膜の蒸発を実現することで除熱限界を促進させることができた.接触角が70度程度で撥水型ドライアウトが生じるシリコン表面では除熱限界が1MW/m2程度であった.一方,エッチングで加工したシリコンマイクロ構造の表面に酸化銅ナノ構造を付与することで超親水化した階層構造表面では,使用した直流電源の定格出力に対応する3MW/m2を超える熱流束でも,沸騰による高い熱伝達率を維持することができ,撥水型ドライアウトの防止が除熱限界促進に有効であることが示された. ②マイクロチャネル内流動沸騰時の薄液膜厚さを計測するために,レーザー干渉計を組み立て,予備実験としてプール沸騰において薄液膜厚さの計測を行った.他の光学的手法を用いた先行研究とよく似た結果が得られたため,次年度ではMEMSセンサによる局所壁面温度計測とレーザー干渉法による薄液膜厚さ観察を組み合わせて,マイクロチャネル内流動沸騰の熱伝達メカニズムを詳細に調べる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微細構造を付与することによる伝熱面の超親水化により,マイクロチャネル内流動沸騰の除熱限界を3倍以上に増加させることができた. 次年度の壁面温度のMEMS計測と複合して行う,マイクロチャネル内流動沸騰における薄液膜計測に備えて,プール沸騰における薄液膜計測を通じて,構築したレーザー干渉計の正常な動作を確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
エッチングで作製するマイクロ構造の形状,寸法を改良することでさらなる除熱限界促進を目指す.マイクロチャネル内流動沸騰の局所伝熱特性,液膜形成特性を調べるために,MEMSセンサを用いた局所壁面温度計測と,レーザー干渉法を用いた液膜厚さ計測を実施する.
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Research Products
(2 results)