2017 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancement of thin film thermal conductivity by surface phonon polaritons effects
Project/Area Number |
16K18031
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
トランシャン ローラン 九州工業大学, 大学院工学研究院, 特任助教 (50754785)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表面フォノンポラリトン / 熱伝導率 / 薄膜 / 誘電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化ケイ素の超薄膜の面方向熱伝導率を測定し、膜厚100nm以下になると熱伝導率が増加することを示した。測定には3オメガ法を用いた。この測定のためにヒーターと温度センサーを有する二酸化ケイ素の自立膜が必要となるが、一般的なクリーンルームの工程で作製するノウハウを利用して必要な構造を作製した。二酸化ケイ素には圧縮の残留応力が発生するが、強い残留応力が働いたままウェットエッチプロセスを実施すると、膜厚100nm以下の超薄膜が割れる。残留応力を緩和するため、引っ張り応力を有する窒化ケイ素薄膜を膜厚制御して生成し、必要な二酸化ケイ素超薄膜を保護した。窒化ケイ素を取り除く最後の工程はドライエッチングを利用することで、必要な超薄膜を生成した。表面には熱伝導率測定に必要なヒーターと温度センサーを線幅10ミクロンのアルミ細線で生成した。細線構造生成にはリフトオフプロセスを用いている。ヒーターからの熱の漏れが測定結果に影響を及ぼさないよう考慮して、二酸化ケイ素の平面サイズ、細線の幅、長さを設定した。その結果、膜厚80nmの二酸化ケイ素薄膜でバルク状二酸化ケイ素の熱伝導率に対して1.5倍程度大きい値が計測された。薄膜の膜厚方向の熱伝導率測定はじめ、通常、フォノンのみの熱輸送を考えると膜厚が薄くなるについて、熱伝導率は減少することがよく知られている。熱伝導率が増加した本研究結果については、解析予測通り、表面フォノンポラリトンに起因する熱伝導率促進と考えている。実際に平均自由行程の長い表面フォノンポラリトンによる熱伝導では、薄膜の平面サイズもサイズ効果に表れると考えられるが、幅1mm以下の薄膜では熱伝導率が下がる傾向が測定された。今後、表面フォノンポラリトンの直接測定などを通して、考察を深める必要がある。
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