2019 Fiscal Year Research-status Report
磁気浮上・流体機械システム融合による小児用人工心臓用磁気浮上モータの超小型化
Project/Area Number |
16K18036
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長 真啓 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (30735105)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 磁気浮上モータ / 5軸制御 / ダブルステータ / 小児用人工心臓 / 小型化 |
Outline of Annual Research Achievements |
5軸制御磁気浮上モータの運動モデルに基づくダイナミクスシミュレーションを活用してモータの小型化設計を行った.モータ高さを維持してモータ外径を小径化することが,デバイス体積を小さくしながら非接触インペラ支持のための磁気支持力を担保できることが分かった.本研究では,i)ポンプ内における任意のインペラ浮上位置で上下のモータが発生する磁気支持力をバランスできること,ii)インペラが磁気浮上中心位置にあるときに5 G以上の外乱加速度に対抗できることを設計指針とし,外径20 mm,高さ33.8 mmをモータの基本寸法として決定した. 理論解析により決定した基本寸法のモータについて,漏れ磁束および磁気飽和(コア材料の磁気特性)の影響を考慮可能な有限要素法三次元磁場解析を用いて,モータ形状の詳細決定および支持力推定を行った.最も過酷な励磁条件においてモータの磁気飽和がないこと,小型化モータがインペラを非接触で支持するに必要な磁気支持力を発生可能であることを確認した. 小型化設計したモータを製作し,基礎性能評価を行った.永久磁石の製作が遅れたため,既開発の外径22 mmのロータを用いた.モータ小型化に伴い,単位電流あたりのモータ発生軸方向吸引力が0.7 N/Aとなり,既開発モータよりも支持力が64%低下したが,本支持力で7 Gまでの加速度外乱に耐えられることが計算でき,インペラ非接触支持の実現可能性を示すことができた. モータ製造時期が年度末にずれたため,動物実験については2018年度に開発した外径22 mm,高さ34 mmの磁気浮上モータを用いて実施した.十分な磁気浮上性能および血液循環補助が可能であることを実証した.血液適合性に関して,ポンプ内血栓が生じたことから,樹脂製ポンプからチタン製ポンプとすることでポンプ内の粗さや段差除去が必要であることが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型肺炎感染症蔓延のため,中国生産の永久磁石製作が遅れモータ製造時期が変更となった.永久磁石は3月末に納品したため,現在,迅速にモータの基礎性能,動特性を評価するよう研究を進めている. 上記のような製造行程で影響を受けたが,当該年度内にモータの小型化設計,小型化モータの製作,人工心臓ポンプの循環補助性能,血液適合性評価(2018年度製作ポンプ)に関する評価は行えており,おおむね計画通りに実施できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
年度末に永久磁石を納品したため,迅速に,基礎性能評価の完了,磁気浮上動特性の評価に移れるよう研究を進めている.今後,小型化した5軸制御磁気浮上モータを血液ポンプを融合して,ポンプ駆動時の磁気浮上動特性およびポンプ性能を評価し,開発機器が小児用人工心臓に供せる磁気支持性能および循環補助性能を有しているか検証する. ポンプの血液適合性に関して,ケーシング材料の変更(樹脂製からチタン製へ),モータ発熱影響の除去等の検討の必要性が明らかになりつつある.このため,最終的なサイズ,磁気支持性能,循環補助性能,血液適合性を総合的検討しつつ,改良点を洗い出し,人工心臓実現に向けて研究を進める.
|