2016 Fiscal Year Research-status Report
微粒子を複合化した制振用ゴム材料の減衰特性コントロールに関する研究
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16K18041
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松原 真己 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40736427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は微粒子の複合化に伴う減衰特性変化のメカニズムを解明し、特定の周波数帯域において合成ゴムに匹敵、あるいはそれを超える減衰性能を有するバイオマス制振材の最適設計指針の確立を目的としている.そのため,配合の条件(粒子形状、配合量、配向、界面接着性)を変えた微粒子複合天然ゴムを対象として,物性値の評価および減衰特性発現のメカニズムについて実験および数値解析による検証を行った.平成28年度ではPET粒子の複合ゴムを作製し,以下のような成果が得られた. (1)X線CTによる内部観察を行い,粒子とマトリックスの界面の観察や,粒子配向について調査し,制振材の成形法を検討した.その結果,大型ロールでシート成形したものをそのまま加硫すれば,ある程度配向が一様になることを確認できた.これにより,粒子配向が一様化した試料の作製が可能となった. (2)また,従来の複合測を基に減衰特性を予測すると実験値よりも小さくなることを確認した.これは粒子界面は完全接着ではないことを示している.X線CTにおいては粒子界面において空孔が存在しており,界面において完全接着状態にないことを確認した.これにより,界面において摩擦等のエネルギー散逸が発生している可能性を見出した. (3)粘弾性試験において,ひずみ振幅依存によって貯蔵弾性率が低下,損失係数が増加する傾向を示すことを確認した.また,粒子はアスペクト比が大きく,配向が0度(繊維長手方向と引張り振幅方向が一致する角度)において損失係数が大きくなることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,成型後の制振材の粒子配向を一様化することが困難であったため,対象とする試験片および成形方法について再検討することになった.その後,粒子配向を一様化したシート成形法を構築でき,シート成型品を粘弾性試験機で評価できることを確認した.これにより,実験による減衰評価が簡素化され,成型法検討による遅延分を取り戻している.計画通り配合条件による減衰特性への影響について評価できており,概ね計画通りに進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
配合条件による減衰特性への影響については今後も継続して実験による評価を進める.また取得した減衰特性を再現できる数値解析モデルの構築を進める.このアプローチによって減衰特性発現に関わるエネルギー散逸機構の特定を行う.申請書においては粒子要素法を援用した方法を利用するとしているが,それ以外にも構成(力学)モデルや汎用有限要素ソフト等を利用して包括的に検討する.
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Causes of Carryover |
減衰特性評価用の加速度計の購入を取りやめたことに起因する.制振材自体の減衰特性評価については動的粘弾性試験機を利用することで,研究の遂行に支障はでていない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に実験で使用する備品の購入に使用する予定である.
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Research Products
(4 results)