2016 Fiscal Year Research-status Report
始原天体表層探査のための日本刀技術を用いたサンプリング機構に関する研究
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16K18043
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
渡部 武夫 帝京大学, 理工学部, 講師 (40433180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サンプルリターン / 日本刀技術 / ペネトレーション / 小惑星・始原天体探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度(28年度)の研究実績の概要を以下に示す。 1、精密落下試験機のコアラー保持機構を、従来のワイヤー溶断式から電磁石式に交換し、精密落下試験機の作業効率を改善した。これにより、装置の安全性、精度、試験に要する作業時間短縮など、性能を向上させることができた。2、貫入対象物の始原天体表層模擬試料として軽量コンクリートを調達した。空隙率40%と55%のものを新たに設計製作し、すでに保有している空隙率78%のものと合わせて3種類の貫入対象物を用意することができた。3、すでに保有していた玉鋼素材を用いて試験用コアラー(鍛錬済み玉鋼製)を複数製作した。4、改良後の精密落下試験機及び初期設計の試験用コアラーを用いて基礎試験を実施し、結果の解析を開始した。5、以降の試作用のコアラー素材である鍛錬済み玉鋼(インゴット)を製作し、「4」の基礎試験の結果を踏まえて設計の最適化を開始した。6、当初の計画に加えて、構造解析ソフトANSYSによる貫入ダイナミクスに関する衝突貫入の数値解析を試み、数値シミュレーションの可能性について検討した。 また、平成29年3月31日をもって研究代表者の所属機関が変わることになり、28年度に所属機関に設置した試験関連装置類(精密落下試験機)をいったん解体し、新所属機関にて再構築する必要性が生じた。これに伴い研究計画を一部見直し、当初計画していた迎角試験よりも精密落下試験機の基礎特性とノウハウを蓄積するための試験等作業を優先させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗状況を以下に示す。 1、本研究テーマの研究期間中(29年4月)に代表者の所属機関の異動(異動先:神奈川工科大学)があり、帝京大学に構築した精密落下試験機をいったん解体・廃棄し、異動先の研究機関で再構築する必要性が発生した。2、研究成果として挙げた「精密落下試験機の改良」については、異動先研究機関での再構築時でも再現できるようノウハウを蓄積することができている。3、上記状況を鑑み、28年度は精密落下試験機を用いた実験は、迎角試験よりも基礎試験を優先させることとした。これにより一部作業工程の遅れが発生している。4、当初の計画に加えて数値解析ソフトANSYSを用いて、コアラーが壁面に衝突する際のダイナミクスが表現できる見込みが得られたので、今後この解析を盛り込むことを予定している。これにより、一部進捗に遅れているものの、新規に数値的な解析を加味できる可能性が出てきた。5、試験用特殊コアラーは、新規の鍛錬済み玉鋼インゴットを複数製作し、本年度実施した従来モデルでの基礎試験の結果を踏まえて設計の最適化と製作の準備を進めている。 上記のように、研究代表者の異動に伴い設備の再構築など大規模な準備作業等の必要性が生じ、その影響で一部の研究活動の先送り等が生じた一方で、数値解析ソフトによるシミュレーションの可能性など、当初の計画以上の新たな展開もあり、研究全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策を以下に述べる。 1.当初の計画に即した成果を得るためには、まず、異動先の研究機関において、精密落下試験機を再構築できるような環境を得ることが肝要となる。天井まで高さ3m以上あることが望ましく、また、床面も十分な強度を持っている必要がある。作業場の安全性も加味して実験に適したロケーションが得られた場合、そこに精密落下試験機を再構築し、各種調整の上基礎試験を実施する。2、数値シミュレーションは上記のような特殊環境は特に要さないので、パソコン、解析ソフトなどの計算環境を入手できれば実施が可能となる。これを本研究遂行上のバックアッププランとも位置付けており、数値解析ソフト、機材等の環境整備にも一部予算を割くことを検討している。3、試験用コアラーについては、初年度にすでに素材は入手できているので、引き続き製作者、研究協力者と綿密な打ち合わせの上、設計の最適化及び試作を進めていく。4、ここまでの研究成果についてまとめたものを、学術会議で発表する準備を進めている。 いずれにせよ、29年度当初は研究代表者の異動先にて、本研究テーマを効果的に継続し、成果が得られるようにするための環境整備、装置構築作業に注力することが必要であると考えている。その上で、研究環境の影響の比較的少ない数値解析を平行して行い、実験と数値解析の双方から、本研究のテーマであるサンプリング機構の貫入メカニズムの解明を進めていく計画である。
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Research Products
(1 results)