2016 Fiscal Year Research-status Report
低環境負荷技術構築のための超臨界流体中アーク放電に関する基礎研究
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16K18062
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古里 友宏 長崎大学, 工学研究科, 助教 (70734002)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高電圧工学 / パルスパワー工学 / 放電工学 / 超臨界二酸化炭素 / アーク放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超臨界二酸化炭素中アーク放電現象のプラズマ基礎特性や絶縁回復現象を解明することで,電力機器や化学分野への応用の基盤を築くことを目的としている.本年度はパルスアーク放電の電圧電流波形の精密な解析により,アーク放電の性質を理解することを目標とした. 磁気パルス圧縮方式のパルスパワー電源により,高圧容器中の針対平板電極にパルス電圧を印加した.パルス電圧は数百ナノ秒オーダーで急速に立ち上がり,絶縁破壊が発生した瞬間,電圧の落ち込みとともに数百アンペアオーダーのパルス電流が流れた.その際,電圧電流波形は時間の経過とともに減衰振動する波形となった.この減衰振動は低抵抗のアークプラズマに起因すると考えられる.また,電圧電流波形から計算した電力を時間積分することでアーク放電の消費エネルギーの評価を試みた.低圧から超臨界圧までの広い範囲で消費エネルギーの媒質密度依存性を調査したところ,低圧から亜臨界領域までは媒質密度の上昇とともに消費エネルギーが上昇するが,亜臨界圧以上の超臨界圧では,媒質密度の上昇にも関わらず,消費エネルギーの値が飽和する結果が得られた.この消費エネルギーの超臨界圧におけるばらつきがガス中と比較して大きくなることも明らかになった. 本年度は電圧電流波形解析のみを実行する予定であったが,次年度への予備実験としてパルスアーク放電の発光分光計測を行った.酸素の原子スペクトルが計測されたことから盛んに二酸化炭素の乖離が発生していると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は電圧電流波形解析のみの予定であったが,放電の発光分光計測も行うこともできたため,計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,より細かい圧力条件下におけるパルスアーク放電の発光分光結果により得られたプラズマ温度から適切な数学的アークモデルを選定し,アーク時定数の評価を行う.
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Causes of Carryover |
特注の高圧容器が予定額よりも安く作製できたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光学実験の周辺機器や圧力配管等の購入に充てる.
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