2016 Fiscal Year Research-status Report
直流マイクログリッドにおける高速高精度パワーフロー制御を実現する電力変換器の開発
Project/Area Number |
16K18064
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小原 秀嶺 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (50772787)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DCマイクログリッド / マルチレベルコンバータ / フライングキャパシタリニアアンプ / パワーフロー制御 / 電流制御 / 出力フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,線路インピーダンスが非常に小さい直流電力ネットワークにおいて,出力フィルタを大きくすることなく,高速高精度な電力潮流制御を実現するパワーフローコントローラを開発しようとするものである。2016年度は,主に以下の検討を行い,それぞれ成果を得た。 (1)電源とバッテリーの2要素間を長さ100m,導体外径3.7mm(0.22Ω,30μH)の配電線路で接続した場合を想定し,要素間に接続してパワーフロー制御を行う電力変換器の出力フィルタ設計方法について検討を行った。配電線路のインピーダンス,電力変換器の出力レベル数,スイッチング周波数等をパラメータとし,定常時の電流リプルと過渡時の制御整定時間を考慮した出力フィルタ設計論を確立した。 (2)上記の設計に基づき,2レベルコンバータおよび7レベルコンバータの出力フィルタを含めた設計,試作を行った。スイッチング周波数500kHzにおける実験の結果, 7レベルコンバータは2レベルコンバータに比べて,同一の電流リプル条件で,ステップ応答の立ち上がり時間を5倍程度高速にできることを実証した。 (3)フライングキャパシタマルチレベルコンバータを応用した線形増幅回路フライングキャパシタリニアアンプを提案し,動作解析を行った。理論計算により,MOSFETの直列接続数(コンバータにおけるレベル数に相当)を20直列(上下アームで40直列)以上にすると,出力フィルタ無しの線形動作にも関わらず,変換効率95%以上を達成できる見込みを得た。また,素子4直列のフライングキャパシタリニアアンプを試作し,実験により理論通りの動作を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って,マルチレベルコンバータにおいては,極低インピーダンス線路を考慮した電力変換器およびフィルタ設計論確立,実験実証,効果の定量的評価を完了した。リニアアンプについては,回路方式の提案と動作解析,実験実証を行い,想定通りの高効率化を達成できる見通しを得た。以上より,申請書記載の実施計画に沿って,おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は,2016年度の成果をベースに,1kW程度に出力容量を大きくしたマルチレベルコンバータおよびフライングキャパシタリニアアンプを設計,製作する。マルチレベルコンバータについては,3要素以上が接続された小規模ネットワークにおいてパワーフロー制御の検討を行い,極低インピーダンス線路がネットワーク上でのパワーフロー制御にどのような影響を与えるかについて実験を行う。リニアアンプについては,素子直列数をさらに増加させた回路を複数設計,製作し,効率理論解析の妥当性評価を行う。また,リニアアンプについては,電流制御手法についても検討を行う。得られた成果は,論文として取りまとめ,国内外の著名な学会および論文誌に投稿,発表を行う。
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