2016 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブルアンテナを用いた磁界共振結合方式の無線給電に関する研究
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16K18066
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中村 壮亮 法政大学, 理工学部, 講師 (20634695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 無線給電 / 磁界共鳴 / 共振補償制御 / フレキシブルアンテナ / ユビキタス / 生活空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、フレキシブルアンテナでの共鳴式無線給電を可能とする共振補償制御機能において、中核的な要素技術である「容量制御機能」の実現可能性の検討を行った。 現在は、実際の回路製作は実施しておらず、LTSpice(回路シミュレータ)上での回路シミュレーションベースで検討を進めている。 まず、連続的に容量値を制御できる見込みのある提案回路をLTSpice(回路シミュレータ)上で構築し、容量性インピーダンスの変化に狙い通りの特性が見られる事を確認した。その上で、コイルと組み合わせての単一共振回路を構築し、容量制御により共振補償効果が得られる事を確認した。ここでは、容量制御による共振補償を行わない場合と比較して、Q値が100倍程度まで高められており、共鳴式無線給電が維持できる可能性が示唆された。 しかし一方で、従来のようにコイルと実際のキャパシタで共振を得る場合と比較して、インピーダンス虚部がキャンセルされずに残渣として残るという現象も確認された。現在、この現象はスイッチングに伴う正弦波の歪みがもたらす成分であると推測しており、フーリエ級数展開した際の高調波成分に相当すると考えている。もしそうであるならば、二次側共振器も含めた双共振回路を構築した場合、回路全体がフィルタのように働く事で高調波が除去され(二次側に伝達されず)一次側の電源に帰還され、その影響による効率低下は免れる可能性があると考えている。これに関しては、次年度はさらなる研究を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた提案手法がおおむね狙い通りの効果を発揮しているためである。 しかし、高調波の影響と思われるインピーダンスの劣化など、想定外の事態も発生している。 これらについては、原因究明を進め、伝送効率への悪影響を食い止めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトは、課題を以下の3段階に分けて進めている。 課題(Ⅰ) 実用的な共振補償機能の実現 課題(Ⅱ) 形状変化によるリアクタンス変化の少ないフレキシブルアンテナの実現 課題(Ⅲ) フレキシブルアンテナ間での無線給電システムの構築と給電効率の評価 ここで、課題(Ⅰ)および(Ⅱ)を当該年度中に、課題(Ⅲ)を次年度に遂行する当初計画であった。これに対して、現在は課題(Ⅰ)を集中的に進めており、その中核となる容量制御機能の動作を検証した段階に止まっている。しかし、課題(Ⅰ)に関しては、残るは受電側(二次側)を含めた共振補償制御への拡張であり、さほど問題はないと考えている。 また、申請書にも記載した通り、計画遅れを防ぐために、無線給電の実現を左右するものでない課題(II)に関しては省略する。課題(III)に関しても、構成要素を新規に作成せず、別研究で開発済みのインバータや整流器を転用する事とするため、本題であるフレキシブルアンテナを用いた磁界共鳴式無線給電の回路構成と制御技術に焦点を絞って研究を進めて行く。
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Causes of Carryover |
前倒し申請との合算により購入を検討していた実験機材の購入必要性がなくなったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額に関しては、次年度予算と合算する形で、成果発表の学会出張旅費などとして利用していく予定である。
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