2017 Fiscal Year Research-status Report
自律型無人潜水機への海中給電のための水中用無線電力伝送システムの研究
Project/Area Number |
16K18067
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
稲森 真美子 東海大学, 工学部, 准教授 (70571222)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 水中無線電力伝送 / アンテナ / 伝送効率 / 損失解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋探査のための機器の開発が活発に行われている。海洋探査機器の中でも、AUV (Autonomous Underwater Vehicles) やROV (Remotely Operated Vehicle) は代表的である。AUVは機器内部へのバッテリの搭載によって自立して海中を航行し、ROVはケーブルで給電されている。これらの機器に無線電力伝送の技術を導入すると、電極部がコンタクトレスとなるため、充電の物理的な制約を取り除くことができる。その結果、機器の作業効率が向上する。しかし、空気中のContactless Power Transmission (CPT) システムを水中にそのまま転用できるかどうかは明らかではない。これは空気中と海水中の伝送性能の違いが明確ではないからである。これまでに塩水中CPTシステムの電力効率の悪化が報告されている。海水中で伝送する場合、周囲の海水が電磁界の媒体となり、その影響を受けるはずである。しかし現在、海水中での電力伝送の損失増加の原因は解明されていない。 今年度は海水中で非接触給電を行うことを目的とし、海水中での効率低下の要因について検討した。 無線電力伝送実験により、塩水中では電力効率は空気中よりも低下することが分かった。また、入力電圧一定の条件では塩水中で入力電力が低下することも分かった。すなわち、水中ではインピーダンスが変化すると考えられる。海水中では、誘電損失が増加し、それによっても伝送効率が低下する。そこで、塩水中には空気中での損失とは別の損失があると仮定し、純水の損失、塩の損失の考えを導入した。この仮定により、塩水中ではインピーダンスの変化だけで説明できない損失が存在することを示した。また、漏れキャパシタンスの概念を取り入れ、塩水中の伝送特性の悪化を考察した。塩水中での漏れキャパシタンスは大きく、無視できないことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水中における無線電力伝送用のアンテナを製作し、空気中、純水中、水道水中、塩水中における損失解析を実験により行なっている。また本システムにおける制御用のデータ伝送に関しては、無線電力伝送で送信される電力を干渉波としてその特性を評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに塩水中での効率低下の要因について検討してきた。 塩水中でのアンテナの交流抵抗は空気中よりも増加した。よって、海水中でのアンテナの損失は増加すると考える。 また、損失解析によって塩水中での交流損失が空気中よりも増加することを示した。電解質による損失が塩水中での交流損失の増加の原因と考える。しかし、塩水中での損失増加は誘電率による誘電損だけでは説明できない。 塩水は導電率をもつため、塩水中での伝送は水の導電率を考慮しなければならない。今後は導電率による損失を考慮していく。
|
Causes of Carryover |
既存の設備や材料を用いて実験を行うことができたため、物品費が抑えられた。次年度に物品の購入と国際会議への参加を予定しているため、全体の計画に影響はない。
|
Research Products
(9 results)