2016 Fiscal Year Research-status Report
太陽光発電および二次電池を含む宅内直流システムにおける安定制御に関する研究
| Project/Area Number |
16K18069
|
|---|
| Research Institution | Ritsumeikan University |
|---|
Principal Investigator |
柿ヶ野 浩明 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30437371)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
| Keywords | パワーエレクトロニクス |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
太陽光発電や二次電池を直流で接続するシステムを住戸に適用する場合，家族構成や機器の寿命などに応じてシステム構成を柔軟に変更できることが望ましい，本研究では，直流機器を自由に着脱できる直流分電盤を有したシステムにおける安定性および制御法について検討を行った。
平成28年度は，直流電源と直流負荷がそれぞれ一台の場合における直流システムの安定条件について検討した。システムの安定条件として，電力の方向に依存しない受動性を用いた安定条件を採用した。受動性とは，回路網が消費するエネルギーが常に正であることで，これを満たす回路は安定となる。受動性に基づく安定条件を満たす方法としてPositive Feed-Forward (PFF) 制御を加える手法が提案されている。この先行研究では，PFF制御の電流マイナーループ制御において入力電圧，出力電圧の値がフィードフォワードされておらず実用的ではなかった。本研究では，それらフィードフォワード項も考慮に入れた実用的な制御ブロックにて，入力アドミタンスの式を新たに導出した。
次に，直流電源と直流負荷がそれぞれ一台の場合について，シミュレーションによる検証を行いった。直流入力電圧・電流に持続振動が生じ不安定となる条件において，PFF制御を加えることによりシステムが安定となることを確認した。次に，シミュレーションとほぼ同じ条件で降圧チョッパを用いた実験による検証を行った。その結果，PFF制御による安定化を実機で確認することができた。
来年度は，3台以上の変換器を含むシステムを構築し，課題の抽出を行う予定である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従って，直流電源と直流負荷がそれぞれ一台の場合について受動性に基づく安定化手法の理論的な検討を行った。また，Positive Feed-Forward(PFF)制御を用いた変換器の制御法と安定性に関する検討を行った。
PFF制御に関する先行研究では，電流マイナーループ制御において入力電圧，出力電圧の値をフィードフォワードしていなかったため実用的ではなかったが，本研究ではそれらを考慮に入れ，入力アドミタンスおよび仮想アドミタンスの式を導出した。この式を用いたPFF制御を追加することで，降圧コンバータの入力に仮想アドミタンスが並列に追加され，降圧コンバータの入力アドミタンスの位相が±90°の範囲に収まることをボード線図により確認した。
そして，提案するPFF制御の妥当性をシミュレーションと実験により確認した。直流入力電圧・電流に持続振動が生じ不安定となる条件において，PFF制御を加えることにより直流入力電圧・電流が安定することを確認し，理論の妥当性を検証できた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
来年度は，直流バスで接続する変換器の台数を3台以上に増やして実験を行い，安定性に関する課題の抽出を行う。また，PFF制御における入れるハイパスフィルタのカットオフ周波数とゲインの設計法についても検討を行う。
また，低周波数(数十ヘルツから数千ヘルツ)における直流バスのアドミタンスの測定方法についても検討を行う予定である。
研究が順調に進めば，直流バスに接続する連系用単相インバータを用いた直流バス安定化に関する検討も行いたい。
|
