2017 Fiscal Year Research-status Report
インパルス電圧による健康及び魚病関連微生物の滅菌処理法の開発
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16K18071
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 崇寿 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30508867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 耐性遺伝子 / VRE / 滅菌 / インパルス電圧 / 高電圧パルスパワー |
Outline of Annual Research Achievements |
抗生物質の利用の拡大に伴い,抗生物質の1つであるバンコマイシンに耐性を持つ薬剤耐性菌が発現し,大きな問題となっている.本申請では,電界により菌の細胞壁を物理的に破壊し,菌を不活化するものであるインパルス電圧による不活化を目的としている.対象はバンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-Resistant E.faecium : VRE),印加装置として磁気パルス圧縮(Magnetic Pulse Compression: MPC)電源を用いた.本電源では回路中の一次側回路の線路長を変化させ,立ち上がり時間及び電圧パルス幅を可変することができる.菌液のインピーダンスを測定し,動作周波数は 100 Hzとして,パルス幅を6.9 μs及び1.7 μsとして印加を行った.結果をまとめると以下の通りである. (1)立ち上がり時間が異なる2種類のインパルス電圧をVREに印加した.電流波形は電圧波形とほぼ一致していることから,本インパルス電圧を印加した場合,菌液は抵抗負荷であることが示された. (2)印加したインパルス電圧の値によってVREの不活化率に差が生じた.印加時間を増加させれば完全に滅菌させられることが示された. (3)各種菌液量におけるインピーダンス測定を測定周波数5 MHzまでの範囲で行った.菌液量が少ないほど高いインピーダンスを示し,いずれの菌液量においても測定周波数が高くなるにつれインピーダンスが低下したことより,印加したインパルス電圧に含まれる低周波数成分が大きく影響をあたえると考えられる. (4)菌が添加されることによりインピーダンスが低下したことが確認できた.生菌数の濃度に関わらず,インピーダンスが各測定周波数において殆ど変化が見られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標とする薬剤耐性菌の滅菌並びに薬剤耐性菌を懸濁させた菌液のインピーダンス測定を行うことができた.しかしながら,そこから導出可能な電源容量は明らかにしていない.また,印加に必要である繰り返しインパルス電源装置の半導体スイッチ破壊のため,魚病関連微生物等への印加を行えていないため,計画より遅れている状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
1.インパルス電圧発生装置の小型化及びリアクタの開発 これまでの結果をもとに,高効率に電気エネルギーを送り込み,滅菌作用を発揮することができる装置を開発し,リアクタとともに組み込むことで新規の滅菌処理システムとしての構築を目指す. 2.実試料への実証実験及び従来法との比較 実試料を対象として,構築した本システムによる実証実験を実施する.さらに,各分野において一般的に利用されている従来法(塩素消毒(次亜塩溶液),紫外線消毒,オゾン消毒)と比較し,その消毒機構,残留薬品,コストの面から本システムの有用性を検証する.
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Causes of Carryover |
印加のための繰り返しインパルス電圧装置が故障した.過電流よる半導体スイッチの破壊であり,新たな半導体スイッチの購入およびリアクタ作成に使用する計画である.
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Research Products
(4 results)