2018 Fiscal Year Annual Research Report
Inactivation of Vancomycin-Resistant Enterococci by impulse voltage
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16K18071
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 崇寿 大分工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30508867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インパルス高電圧 / 薬剤耐性菌 / バンコマイシン耐性腸球菌 / 殺菌 / 滅菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腸管内の常在菌の1種である腸球菌は通常,健常者の場合は保菌していても無害である.しかし,免疫機能が低下した場合,心内膜炎や敗血症等の重篤な感染症を引き起こす恐れがあり,抗生物質による治療が行われてきた.しかし,その利用の拡大に伴い,抗生物質に耐性を持つ薬剤耐性菌Antibiotic Resistant Bacteria:ARB)が発現した.1980年代前半の欧州ではじめて発現が確認され,1990年代に入り米国などで急速に拡大した.我が国でも発生が報告されており,院内感染の原因菌として大きな問題となっている. 現在の我が国の下水処理場の殺菌方法は,次亜塩素酸を用いた薬剤殺菌が主流となっているが,近年のARBの発現により薬剤殺菌では完全に処理できておらず,今日までに河川等の水環境における検出が報告されおり,水環境中でのARBによる汚染が深刻となっている. これまで塩素以外の手法として,オゾンや紫外線照射による殺菌方法が提案されてきたが,設備コストが高価であること,対象物の濁度によって殺菌効果が減衰するため十分な殺菌効果が得られない場合があるといった問題が生じており,大規模な普及には至っていない. 本研究では,代替手法としてインパルス電圧による滅菌法を提案した.これは,電界により菌の細胞壁を物理的に破壊し,菌を滅菌するものであり,大腸菌や糸状菌に対して有効とされる.これまで,薬剤耐性菌であるバンコマイシン耐性腸球菌へインパルス電圧を印加し,印加電圧および印加時間の増加に従って生菌数が減少することが確認された.また印加電圧が高いほど印加後の菌液温度が高くなることが確認された.また,対象が海水等の低インピーダンスとなる場合でも電界が印加できれば不活化できることが示唆された.
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Research Products
(3 results)