2016 Fiscal Year Research-status Report
Ⅳ族半導体を用いた格子整合ヘテロエピ結晶成長技術の開発と高速量子素子への応用
Project/Area Number |
16K18076
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
塚本 貴広 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50640942)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | スパッタエピタキシー / GeSiSn / 共鳴トンネルダイオード / RTD / Ⅳ族半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、GeSiSnの結晶成長技術を開発し、格子定数整合系のⅣ族ヘテロ接合を実現し、高性能な量子井戸積層デバイスを実現することを目的としている。量子井戸積層デバイスとして、Geを量子井戸としGeSiSn層を障壁層とした共鳴トンネルダイオード(RTD)を開発する。RTD素子の開発では、Ge量子井戸における障壁のポテンシャルが増大すると、熱放射電流を抑制した良好なトンネル現象が得られる。そのため、Geに格子定数整合したバンドギャップの大きなGeSiSn薄膜形成技術の開発はRTD素子特性の向上において重要である。GeSiSn薄膜の格子定数とバンドギャップは、Si, Ge, Snの組成比から決定され、Geとの格子定数整合条件下ではSn組成比の増大に伴いバンドギャップは増大する。そこで、本年度ではGeに格子定数整合したSn組成比の高いGeSiSn薄膜の結晶成長に取り組んだ。 GeSiSnの組成比は、Si, Ge, Snのそれぞれの成膜速度により制御した。GeSiSnの格子定数はX線回折逆格子マップ測定により評価し、Geに格子定数整合したGeSiSn薄膜の形成条件を調べた。GeSiSnの組成比はX線光電子分光法により評価した。結果として、Geに格子定数整合した12%のSn組成比のGeSiSn薄膜の形成に成功し、伝導体で0.2 eV、価電子帯で0.15 eVのバンドオフセットが期待される格子定数整合系のGe/GeSiSnヘテロ接合を実現した。これらは、従来の歪Si/SiGeでは低欠陥に形成することが困難な大きさのバンドオフセットである。また、透過型電子顕微鏡観察による結晶構造解析において、優れたヘテロ接合界面の形成を確認しており、Ge及びGeSiSnを積層した量子井戸構造の形成にも成功している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していたGeSiSnの結晶成長技術の開発が予定通り進んでおり、平成29年度に計画しているRTDの試作をすぐに遂行可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通りにRTD特性の取得に取り組む。Ge基板上におけるGe/GeSiSn-RTD素子特性の取得を行い、素子特性向上に向けた素子化プロセスの検討を行う。素子化プロセスの検討では、電極とGe/GeSiSn-RTDとの良好なオーミック特性の取得に取り組む。また、RTD素子の直列抵抗の低減を目的として、量子井戸部以外を高不純物ドープすることで低抵抗化を試みる。そして、Si及びGe基板上に形成したGe/GeSiSn-RTD素子特性の比較を行うことにより、Si基板上のGe/GeSiSn-RTD素子の性能と改善事項を把握する。
|
Causes of Carryover |
年度末に外注測定を予定していたが、成膜装置の不調により行えなかったため次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、予定していた外注測定を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)