2017 Fiscal Year Research-status Report
有機・配列ナノカーボンを用いた柔らかくて透明な熱電変換素子の開発
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16K18078
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸 直希 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70470044)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電変換薄膜 / 透明電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
フレキシブル・透明な熱電変換素子の実現に向け、H29年度は以下の研究を行った。 1.有機系熱電変換薄膜の熱電変換特性の改善 有機系熱電変換材料であるPEDOT:PSSのさらなる熱電変換特性改善を目指し、H29年度は界面活性剤に加え高沸点溶媒も同時添加しその効果を検討した。界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム、高沸点溶媒としてエチレングリコールを用いた。その結果、熱電変換特性はPEDOT:PSS、界面活性剤、高沸点溶媒の比に大きく依存し、相対的に界面活性剤が多い場合は高沸点溶媒の導入によっても熱電変換特性は改善されず、界面活性剤量の少ない場合に高沸点溶媒の同時添加により熱電変換特性が改善することが明らかとなった。また、基板材料に対するPEDOT:PSS分散液の濡れ性については、高沸点溶媒を導入しても界面活性剤を同時に導入しているため濡れ性が高く、スピンコートなどのウェット成膜により均一性の高い薄膜が得ることができる。 2.分散材レス成膜法を用いたカーボンナノチューブ透明電極の均一成膜 透明・フレキシブルな熱電変換素子における透明電極に用いるカーボンナノチューブ薄膜の分散材レス成膜のさらなる均一性を向上させるため、装置の自作を行いバーコーティング成膜の自動化を行った。成膜時のバー圧力、成膜速度などの成膜条件を精密に制御することが可能になり、光透過率の面内ばらつきが約1%程度まで低減することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度の研究で、PEDOT:PSSの熱電変換特性向上についての基本的な指針を得ることができた。H30年度はこの材料を用いて素子化の研究への展開を行う。また、熱電変換特性の向上には成功したがそのメカニズムについては不明な点が多いため、それを明らかにする研究も実施する。また透明電極については分散材レス成膜の面内均一性についても一定の指針を得ることができた。課題としては素子化をする上では更なる低抵抗化も必要なため、H30年度は抵抗を低減する研究も実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、ここまでの研究で得られている界面活性剤、高沸点溶媒を同時添加したPEDOT:PSS熱電変換薄膜を用いた素子の作製プロセス開発を行い、透明・フレキシブルな熱電変換素子の実現を目指す。またPEDOT:PSS熱電変換薄膜の熱電変換特性向上が確認されたがそのメカニズムは不明な点が多い。そのためこれを明らかにするための研究も実施する。カーボンナノチューブ透明電極については、素子化のためにはさらなる抵抗値の低減が必要なため、低抵抗化に向けた研究も実施する。
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Research Products
(7 results)