2017 Fiscal Year Research-status Report
次世代移動通信のための高周波数帯 電波伝搬動的特性に関する研究
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16K18102
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 健太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (40756665)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | MIMOチャネル / MIMOチャネルモデル / 動的チャネル / 拡散散乱 / チャネルサウンダ / 伝搬チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,第5世代移動通信システム以降の将来移動通信システムの実現に向け10GHz帯以上の高周波数帯におけるMIMOチャネル特性の解明を目的としている.特に本研究課題では,高周波数帯では搬送波波長が短くなる事から床面や壁面の凹凸等による電波の拡散散乱の頻度が多くなる現象に着目し,その伝搬現象の解明とMIMOチャネル特性への影響について明確化を行う事を目的としている.また移動ユーザの伝搬チャネル特性を解明するため12GHz帯チャネルサウンダを新規開発し,上述した電波の拡散特性を含むMIMO伝搬チャネルの動的特性について明らかにする事を目的とする. 本年度は,昨年度より検討を行ってきた11GHz帯MIMO伝搬チャネルの拡散散乱波の伝搬遅延,到来角度,偏波特性について,伝搬環境による特性の違いについて明らかにした.また拡散散乱波成分がMIMOチャネル特性に与える影響を明らかにした.次にMIMOチャネルの動的特性解析に関しては,昨年度より開発を行っている12GHz帯チャネルサウンダの測定ソフトウェアの開発,電波暗室によるアンテナキャリブレーションデータの取得等,測定のための準備を行い,屋内環境において複数移動ユーザが存在する場合の伝搬チャネル特性を明らかにするため伝搬実験を行った.最後に電磁界シミュレーション手法の検討に関しては,電波の拡散散乱波特性の解明を行うため,物理光学近似を用いた電磁界シミュレーションソフトウェアを作成した. 上記研究成果に関連し,国際論文誌の採録2件,国内論文誌の採録1件,国際学会への採録1件,国際研究プロジェクトへの投稿2件,国内研究会への投稿3件を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,11GHz帯伝搬測定データよりMIMOチャネルの拡散散乱波成分推定を行い,屋内環境の場合,部屋の大きさによってどの様に電波の拡散散乱特性が変化するか明らかにした.拡散散乱特性がMIMO通信容量に与える影響については,拡散散乱成分がMIMOチャネルの第2固有値以降の固有値特性に顕著な影響を与える事を明らかにした.本研究成果については,国際論文誌や国際研究プロジェクト(COST IRACON)を通して公表しており,現在はベルギーのGent大学と拡散散乱モデルの更なる高度化について共同研究を行っている. MIMOチャネルの動的特性解析に関しては,12GHz帯チャネルサウンダの新規開発を完了し,屋内環境において複数移動ユーザが存在する場合の伝搬チャネル特性を明らかにするため伝搬実験を行った.本実験の詳細なデータ解析は次年度も継続して実施する予定である. 電磁界シミュレーションに関しては,昨年度開発したソフトウェアをベースに用い,凹凸のある平面による電波の散乱特性について検証を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度実施した多数の歩行者が存在する動的環境における電波伝搬実験データについて解析を完了させる予定である.具体的には歩行者の主要伝搬波への影響(クラスタ数,クラスタ電力,クラスタ内遅延・角度分布)及び拡散散乱波への影響(時間・角度・偏波特性)について検証を行う.得られた研究成果については適宜国際研究プロジェクト(IRACON COST)等を通して公表し,デファクトスタンダードなMIMOチャネルモデルの策定や,MIMO Over-the-Air (OTA) やシステムシミュレーション等への利用を通した将来無線システムの設計や評価に活用する予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議・国際研究プロジェクトへの参加を次年度に実施する事としたために残額(次年度使用)が生じた。今年度は昨年度実施した伝搬測定の詳細解析を行うと共に、残額は大型計算機の利用費,国際共同研究の実施や国際研究プロジェクトへの参加等に係る経費に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)