2016 Fiscal Year Research-status Report
小型端末用60GHz帯3次元指向性制御アンテナの異種サブアレイ指向性合成の研究
Project/Area Number |
16K18106
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉田 賢史 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (50751830)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 60GHz帯 / アレイアンテナ / 3次元実装 / 伝送線路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,第5世代の移動通信システムなどの小型携帯端末搭載用60GHz帯3次元指向性制御アンテナの実現を大きな研究背景とし,異種サブアレイアンテナを複数用いた指向性制御アンテナの試作および評価を研究目的とする.本研究においては,測定において異種サブアレイ指向性の有効性を示す段階までを実施し,3次元指向性制御アンテナの実現に向けた1つのステップとする.
初年度であるH28年度においては,まず電磁界解析を行うワークステーションを調達し,設計環境を整備した.その後従来の課題であった実装歩留まりの向上に関する検討を行った.さらにその構造を適用したサブアレイアンテナの動作を電磁界解析で検証した.具体的な内容は,次段落に示す.
従来の銅ボールを用いる基板間接続手法においては,ドーナツ状のソルダーレジストを塗布しておき,その開口部に銅ボールを配置していた.しかしレジストの膜厚が薄く,十分な量のクリームハンダ塗布が難しいことから実装強度不足および電気的接続不良の課題が挙げられていた.また,基板製造プロセス上,レジスト塗布の位置精度が悪く,銅ボール位置が安定しないことから,高周波特性の悪化およびばらつきの増大も課題であった.そこで銅ボール実装部において,多層基板に円形の彫りこみ構造を設けることを考案し,機械的・電気的接続性能の向上および位置精度の向上を図った.彫りこみ構造の適用のため,従来は多層基板表層にグランドつきコプレーナ線路を配置していたが,内層を伝送線路として活用し,彫りこみ構造適用を可能にした.伝送線路の不連続部が増えるため,反射特性の悪化が懸念されたが,最終的に従来構造に比べて遜色のない伝送特性を持つ基板間伝送線路構造を提案できた.さらに年度後半には,提案構造を適用したサブアレイアンテナの設計を行い,電磁界解析でアンテナ特性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度は,従来の課題であった実装歩留まり問題に対する解決案として,多層基板の表層を彫りこみ,銅ボールを落とし込める構造を提案し,電磁界解析による設計を行った.その結果,従来構造と比べて遜色のない伝送特性を実現できる見込みを得たことから,本研究開発の目的達成に対して大きな成果を得ることができた.さらに提案構造を適用したダイポールサブアレイアンテナの設計も行い,その有用性を電磁界解析で確認した.一方で,H29年度以降の多層基板試作に向けて,試作可能な業者選定も行い,技術的に試作可能な仕様を具体的に決定した.これらの成果から,来年度以降のステップに向けて研究進捗状況は順調であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,H28年度後半に設計したサブアレイアンテナを用いて,異種サブアレイ指向性合成に関する検討を行う.その後基板試作のためのCADデータ設計を行い,多層基板試作を行う.また,得られた成果をまとめて,電子情報通信学会等の大会や研究会での学会発表および論文投稿を行う.
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Research Products
(2 results)