2017 Fiscal Year Research-status Report
選択ダイバーシチ方式を用いた信号検出技術と高精度化のための最適設計法の開発
Project/Area Number |
16K18110
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
成枝 秀介 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90549544)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スペクトルセンシング / コグニティブ無線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的は、選択ダイバーシチ方式を用いたスペクトルセンシング法の開発である。選択ダイバーシチ方式は低コストな受信機構成に欠かせない技術であり、これを用いたスペクトルセンシング法を確立することで、安価なコグニティブ無線機開発につなげることが狙いである。この手法ではセンシングに要する総期間が、1)アンテナ選択のための観測期間(選択素子数分必要)、2)選択素子によるセンシング期間、の二つの和となり、信号検出確率を改善するといった意味合いでの最適設計法を探ることが本研究計画の具体的な実施内容となる。
計画としては、1)最適解の存在を数値的に確認することで本研究でのフレームワーク(総センシング期間=観測期間+センシング期間)を確立する、2)解析的な観測期間(or センシング期間)の設計基準を開発する、となる。平成29年度は、2)について取り組み、その結果、近似的な設計基準を開発し、その有効性を数値実験により示した。加えて、周期定常性検出に基づくスペクトルセンシング法の低演算量化を検討した。検討の結果、従来技術の約67%程度の演算量で同等の検出特性であるようなスペクトルセンシング法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アンテナ素子数の情報から観測期間長を設計するための近似的な基準を開発した。各素子で得られる受信電力を確率変数ととらえることでも設計基準を導出できるが、途中の積分式を求めることが困難であるため、近似的な基準を導出した。
具体的には、順序統計量の平均・分散から得られる確率密度関数の直接的な大小比較を行うのではなく、隣り合う確率密度関数間に境界線を設け、境界線を越える面積が最も小さくなるような設計基準を開発した。開発した設計基準は、数値実験により検証した。検証の結果、昨年度示した特性と開発した設計基準がよく一致することを示した。加えて、周期定常性検出に基づくスペクトルセンシング法の低演算量化を検討した。検討の結果、従来技術の約67%程度の演算量で同等の検出特性であるようなスペクトルセンシング法を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては、ここまで開発した技術を、一般化アンテナ選択ダイバーシチ方式を用いたスペクトルセンシング法へと応用する。一般化アンテナ選択ダイバーシチ方式とは、選択の結果、複数素子を用いてセンシングを行う方法である。計算量の制約を緩和できる場合に信号検出精度を向上できる技術である。 具体的には、観測時間長設計における最適解の確認ならびに設計基準の導出などが、開発課題として挙げられる。
これらに加え、スペクトルセンシング法そのものの低演算化にも引き続き取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
今年度実施した数値実験では、比較的計算能力の低い計算機で実験を行うことができたため、今年度ワークステーションを購入する必要がなかったためである。
次年度は、計算能力の高い計算機での数値実験が必須であることから、高性能ワークステーション購入に充てる予定である。
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