2016 Fiscal Year Research-status Report
術後の急性心筋梗塞予防のための周術期心筋マーカーモニタリング用センサの創製
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16K18112
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
當麻 浩司 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40732269)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プラズモン / 心筋梗塞 / モニタリング / 免疫センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、手術後の主な死亡原因の一つである急性心筋梗塞(acute myocardial infarction, AMI)を予防するために、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance, SPR)バイオセンサを利用した周術期血中心筋マーカーモニタリングシステムの要素技術を構築することである。血中の心筋マーカー濃度を連続計測できればAMIの予測・早期発見が可能となり、予防や効果的な治療へ大きく貢献する新規の診断技術にむすびつくと考え、研究を進めてきた。28年度は(1)繰り返し免疫測定が可能なSPRバイオセンサの構築と、(2) mouse IgG、anti-mouse IgGを用いた、モデルサンドイッチアッセイによるセンサシステムの評価・改良を行った。 SPRの励起には波長633 nmのレーザーを使用し、プリズムによる全反射測定法を用いた。センサチップの金基板はガラス基板上にチタンと金薄膜をスパッタ法にて製膜し、作製した。また、連続計測のために polydimethylsiloxane(PDMS)にてフローセルを作製し、センサチップ上にプラズマ接合により装着した。SPRセンサの光学特性評価として、屈折率の異なる溶液を負荷したところ、屈折率に応じたセンサ出力が確認され、既製品と同等の屈折率分解能が得られた。また構築したSPRセンサにてモデル免疫測定を行ったところ、出力が観察され本センサの可能性が示された。以上のように、当該年度に予定していた(1)の研究目的を達成し、(2)は現在も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請課題の目的は、手術後の主な死亡原因の一つである急性心筋梗塞(AMI)を予防するために、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサを利用した周術期血中心筋マーカーモニタリングシステムの要素技術を構築することである。特に28年度では(1)繰り返し免疫測定が可能なSPRバイオセンサの構築と、(2) mouse IgG、anti-mouse IgGを用いた、モデルサンドイッチアッセイによるセンサシステムの評価・改良であった。これに対し申請者は、光学系の構築や連続的な免疫測定のためのフローセルの作製などを行い、システムの光学基礎特性を評価した。さらにモデルサンプルを用いた免疫測定実験にも取り掛かり、28年度の目標を概ね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度で得られた結果を基に、まずは(2)のモデルサンドイッチアッセイによる改良を引き続き行う。特に抗体の結合や連続測定の点に関しては、各条件(pHや濃度など)を最適化する必要がある。またフローセルに関しても、フロー部の高さや流速などの条件を比較し、より迅速かつ高感度な測定を実現する。その後は(3)緩衝液中および血清中心筋トロポニン(cTn)の連続測定によるセンサの評価・最適化を行い、(4)光学系・流路・表面修飾・測定法の改善による更なる感度・再現性・検出時間の向上を図っていく。その後将来的には、本研究で確立した4つの要素技術を基礎とし、血液中に含まれるcTnなどの心筋マーカーを連続測定することができる周術期血中心筋マーカーモニタリングシステムの構築、またその小型化へと移行し、心筋マーカー濃度の連続的な時間変化情報に基づくに新たな医療診断技術へと応用・展開していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究内容による学会参加などの旅費が発生しなかっため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に試薬やガラスなどの消耗品、学会参加などのための旅費へ支出する。
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