2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K18113
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田上 周路 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (80420503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光ポンピング / 磁気計測 / アルカリ金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,センサ原理に由来するシンプルな装置構成を生かし,コイルやアンテナといった金属体を使用しない光学式の交流磁界センサシステムの構築と測定プローブのモジュール化の検討,磁界の空間評価を行うことにある.この目的に沿って,28年度は構築したセンサシステムの感度特性を市販の磁界テスタを用いて校正した.また,測定プローブのモジュール化に必要な静磁界の印加方法として永久磁石を使用し,従来法との比較を行った.その結果,以下の研究成果を得ることができた. ①市販の磁界テスタを用いた感度校正:実験に用いるセンサヘッドとして,光路長10mmの分光測定用パイレックスガラス製セルを用い,アルカリ金属としてセシウムと,バッファガス,クエンチングガスとしてHeを80 kPa,N2を10 kPa封入したものを作製した.測定対象として20 kHzの交流磁界を発生させ,市販の磁界テスタを用いて感度較正を行った.構築したセンサの線形な出力特性と,市販の磁界テスタよりも高感度な0.4 nTのノイズレベルを確認した. ②永久磁石を用いたプローブ化の検討:センサ部分の非金属化と小型化を目的として,静磁界の印加に小型の永久磁石を用いて交流磁界検出を行った.永久磁石には直径13 mm,厚さ1.2 mmのフェライト磁石を2つ用いた.それぞれの磁石を静磁界の印加方向と距離を調整し,従来の3 軸ヘルムホルツコイルを用いた場合との比較を行った.永久磁石を用いた場合の測定結果は,信号強度は約81%となり,感度帯域は約126%となった.この結果より,フェライト磁石を利用した際の感度特性に影響を与えているのは静磁界強度の不均一性が大きく関係していると考察した.また,永久磁石の種類や配置によって静磁界分布をコントロールすることで,測定対象磁界に応じた信号強度や感度帯域に最適化できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
28年度実施予定であった「モジュール作製」と「光学干渉を用いた高感度化」に関して,双方ともに実施済みである.「モジュール作製」に関しては永久磁石の使用による感度低下の影響を詳細に検討することで、測定対象磁界に応じた信号強度や感度帯域がコントロール可能であると判明した.その上で,現在は大型の3軸コイルを作製してプローブ周囲の静磁界の制御を実施しており,永久磁石を必要としない,より小型でロバストなプローブの作製に取り組んでいる. また,29年度実施予定である「磁界の微小空間評価」に関しては既に光学系を構築済みであり,信号取得も実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に実施したモジュール化の検討結果を踏まえ,新たなアイデアも組み込んだ,よりコンパクトでロバスト性に優れたプローブの作製を実施する. 磁界の微小空間評価に関しては,現在構築済みの測定系を用いた感度向上に取り組み,空間評価可能なシステムの構築に取り組む.
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Causes of Carryover |
28年度の検討により,新たなアイデアを組み込む必要が出てきたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たなアイデアを組み込んだプローブの試作に用いる光学部品に使用する.
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