2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K18118
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木下 基 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (00415671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / 線形性・応答直線性 / 重ね合わせ法・重畳法 / 自己校正 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ波を用いた物性研究、イメージング、分析等を実現する上で、被測定物の反射率や透過率の測定は重要な役割りを果たす。反射率や透過率は、入射波に対する反射波および透過波の強度の比によって求められるため、テラヘルツ波を検出するセンサの線形性に大きく依存する。本研究は、テラヘルツ波センサの線形性を自己校正可能なシステムの開発に関するものである。テラヘルツ波センサの線形性自己校正システムは、重ね合わせ法(もしくは重畳法)に基づいて開発される。これは同一強度の信号を2つ入射したとき、重ね合わされた信号は個々の信号の2倍となるかを検証するものである。従って、テラヘルツ波信号を2つに分け、それぞれ同一強度となるように調整した後再び結合し、テラヘルツ波センサに入射させる。このとき、個々の信号を別々に検出した場合と、2つ同時に検出した場合のセンサの応答を比較する。 上記原理に基づき、申請者はテラヘルツ波の線形性自己校正システムの構築を行った。当初、研究実施計画に基づき、光伝導アンテナ(PCA)を用いた送受信系を開発したが、信号強度やパルス波形に課題があることが判明した。そこで、より高精度化が期待できる単一周波数信号源であるガンダイオードを利用した線形性自己校正システムを開発した。また、当初、テラヘルツ波を分岐し、強度調整した後、結合する機構に検討が必要であったが、本研究において、偏光子を利用した分岐・強度調整・結合を一纏めに行う機構を開発し、導入した。本機構は分岐したそれぞれの信号が互いに直交する偏波を持つため結合時の干渉を抑制するという利点もある。 開発した自己校正システムを用いて、テラヘルツパワーメータおよび熱型検出器の非線形測定を実現した。本成果は、テラヘルツ帯において初となる重ね合わせ法を利用した線形性自己校正の例と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ波センサの線形性自己校正システムの信号分岐・結合系の開発において、当初の想定を越えて機能的な機構を開発することができた。本機構は、ワイヤグリッド偏光子を組み合わせることで、信号の分岐、強度調整、信号の結合を一纏めに行うことができ、さらに分岐信号が互いに直交する偏波を持つため、結合波の干渉による強度変化がセンサの非線形性として観測されてしまうという問題も避けることができる。 また、当初の計画より高精度化が期待できる単一周波数信号源を用いた自己校正システムを構築した。本システムではPCA以外にも様々な形式のテラヘルツ波検出器の線形性が校正できる。実際に、現在までにパワーメータや熱型検出器など複数のセンサの非線形性測定を実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたPCAを用いた線形性自己校正システムを変更して、より高精度化が見込める単一周波数光源を用いたシステムを構築したが、今後の計画に大きな変更はない。今後、構築した自己校正システムの精度検証や固定減衰器の校正等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
線形性自己校正システムの再設計に伴い、部品(ワイヤグリッド偏光子など)の再選定を行った結果、安価な部品で構築することができた。また見積もり競争等によって可能な限りの節約を行った。以上の結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、光学部品やテラヘルツ関連部品の購入などに充てる。
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Research Products
(3 results)