2016 Fiscal Year Research-status Report
ノイズの事前情報を必要としない非線形カルマンフィルタの開発
Project/Area Number |
16K18128
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
金田 泰昌 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第三部情報技術グループ, 主任研究員 (20463010)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カルマンフィルタ / 機械学習 / 密度比推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,観測ノイズおよびシステムノイズに関する分布情報が未知の場合における非線形離散時間カルマンフィルタの開発を目的としている.カルマンフィルタは,観測ノイズの分布情報を基に状態の事後分布を推定する問題と,システムノイズの分布情報を基に状態の予測分布を推定する問題とにそれぞれ帰着される.そこで,平成28年度は,観測ノイズの分布情報が未知の場合において,状態の事後分布を計算する手法について検討した.具体的に得られた成果は以下の通りである. 1.状態の事後分布はベイズの定理より同時分布と事前分布との密度比で表されることが知られている.そこで,機械学習の分野で提案されている最小二乗密度比推定を応用し,事前に得られたデータから状態の事後分布を直接推定する手法を開発した. 2.状態の事後分布の別推定方法として,カーネル密度推定を用いたプロパーな密度比推定手法を開発した.この手法は,(1)ガウスカーネルに限定し,(2)ガウスカーネルの共分散の非対角項を無視することで,従来まではインプロパーな結果しか得られなかった問題を解決している.1.の手法と比べ最適化プロセスが存在しないため,原理的に学習時間を短くすることができるメリットがある. 3.数値シミュレーションにより,1.および2.で開発した手法の有効性を検証した.数値シミュレーションでは擬似的に生成したデータを用いた評価を行い,提案手法の有効性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,観測ノイズの分布情報が未知の場合において,状態の事後分布を計算する手法を開発し,その性能を数値シミュレーションにて評価することを目標としていた.前項の研究実績の概要にも記載した通り,事後分布を計算する手法を開発し,評価を行っている.評価結果は良好で,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
システムノイズの分布情報が未知の場合における非線形離散時間カルマンフィルタを開発する.観測ノイズの分布情報が未知の場合と同様に,密度比推定を用いて事前に得られたデータから予測分布を学習する.また,オンラインにて事後分布および予測分布を学習する手法を検討する.カーネル密度推定をベースとした手法は計算時間が短いため,これを応用することを第一に検討する.そして,数値シミュレーションにより提案手法の有効性を検証する.
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Causes of Carryover |
物品費および旅費について当初計画よりも支出が少なくなったため,次年度使用額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究で使用しているPCの周辺デバイス(ハードディスク,メモリ,など)の購入,および学会発表などの旅費として使用する計画である.
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