2017 Fiscal Year Research-status Report
けい酸塩系表面含浸材の物質浸透阻止性を評価するための物理的指標に関する研究
Project/Area Number |
16K18133
|
Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
近藤 拓也 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 准教授 (70758672)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | けい酸塩系表面含浸材 / 改質深さ / ビッカース硬度増分 / 吸水阻止性 / 凍結融解抵抗性 / 反応型 / 固化型 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、平成28年度に有効性を確認した、けい酸塩系表面含浸工の施工により得られた、ビッカース硬度試験による改質部分のビッカース硬度増分と、改質深さにより囲まれた面積(以降「指標」とする)を使用した劣化因子侵入阻止性の有効性について、劣化因子を水(吸水阻止性)および水に関連した凍結融解抵抗性として検討を行った。試験要因は、前年度と同様、Ca(OH)2量(W/C)、そして表面含浸材の種類とした。 吸水阻止性については、提案指標と非常に大きい相関を示すことを確認した。一方で、凍結融解抵抗性については、劣化が水の侵入以外で生じるメカニズムも関係して、必ずしも本指標と相関がある結果を示さなかったため、今後の課題となった。また、使用した表面含浸材種類による差は、反応型と呼ばれる種類については本指標と高い相関を示した。一方で、固化型と呼ばれる種類については、本指標と必ずしも相関を示す結果とはならなかった。そのため、適用できる表面含浸材の種類についても、検討を要する結果となった。 平成28年度の結果と併せると、今回検討している指標の劣化因子侵入阻止性については、水の侵入については、本指標を用いることにより評価できることを明らかにした。しかし、劣化がモルタル中の細孔構造以外の原因で生じる塩分浸透や凍結融解抵抗性については、本指標と、他の指標を組み合わせ、劣化予測を行う必要があると考えられる。 これら成果について、平成29年度は査読付き論文を1件(JCI年次論文集)、国際学会シンポジウムへ1件(Our World in Concrete)投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
けい酸塩系表面含浸工法の劣化因子侵入阻止性を示す指標として、含浸部分についてビッカース硬度試験を用いて得られた硬度増分と、改質深さの面積で得られる値(以下「指標」)を提案し、それらと劣化因子侵入阻止性の関係性について検討を行ってきた。 当初計画していた、水、塩分、凍結融解の劣化因子と、指標との関係について、ほぼ整理できたものと考えている。しかし、今回までの検討に用いた表面含浸材は、セメントペーストと反応する主成分である乾燥固形分率および使用量を一定として供試体を作成した。そのため、Ca(OH)2量が多い(水セメント比が小さい)供試体では、表面含浸材含浸部分のビッカース硬度増分が頭打ちとなった。そのため、今回の試験範囲では表面含浸工の効果を示す指標として、必ずしも適切な試験結果を示したとは考えられない。 そのため、平成30年度についてはけい酸塩系表面含浸材の使用量を変化させた供試体を作製し、ビッカース硬度増分および改質深さとの関係性について検討を行う。そして、本指標が劣化因子侵入阻止性を客観的に示すことについて論じたいと考える。 以上の理由より、現時点での評価を「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度については、表面含浸材の乾燥固形分濃度および使用量を一定とした材料を使用し供試体へ施工したため、含浸部分のビッカース硬度増分が一定値を示した。これはモルタル中のCa(OH)2量に対して表面含浸材の使用量が不足したものと考えられる。当初はこの現象を想定していなかったため、本年度については、表面含浸材の使用量を追加した供試体を作製し、ビッカース硬度、および劣化因子侵入阻止性との相関について検討を行う。 以上のことを明らかにすることにより、水セメント比(Ca(OH)2量)に応じた最適な表面含浸工法の施工量が提案でき、さらには実施工における設計に盛り込むことが可能になってくると考えられる。そのため、これらのことを念頭においた検討を引き続き実施していくこととする。
|
Causes of Carryover |
研究中に、前項に示した課題が明らかとなった。そのため、当初計画していた論文集への投稿をとりやめ、平成30年度に実施する実験実施にあたる費用(旅費、人件費)に充てることとしたため、上述する費用に差額が生じた。
|
Research Products
(2 results)