2016 Fiscal Year Research-status Report
メタンハイドレートを含む海底地層に対する波動解析手法の開発とその応用
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16K18137
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古川 陽 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (60724614)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Frozen porous media / 波動 / 境界要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地震探査のみで海底地層内のメタンハイドレートの探査を実現する推定方法の開発を行うことである.また,研究実施計画において,平成28年度は,メタンハイドレート層を含む海底地層を表現する力学モデルの波動論的特徴の把握と,海底地層を対象とした波動問題に対する数値解析手法の開発を実施する予定であった. 平成28年度の研究実績の内容は,以下の通りである.メタンハイドレート層を含む海底地層を表現する力学モデルの波動論的特徴の把握に関しては,固体骨格部,間隙流体,および氷骨格部によって構成される三相体モデルであるfrozen porous mediaに対する波動問題を考え,その波動論的特徴について,飽和多孔質弾性体の力学モデルとの比較と共に考察した.具体的には,frozen porous mediaに対する構成方程式および運動方程式から波動伝播に関する固有方程式を導出し,それを解くことで,波動の位相速度,Q値の周波数依存性および氷骨格部の体積比による変化について考察した. また,波動伝播に伴う変位モードについても考察した. 海底地層を対象とした波動問題に対する数値解析手法の開発では,面外波動問題に対する境界要素法の開発に取り組んだ.はじめに,境界要素解析に用いる境界積分方程式を導出した.導出した境界積分方程式は,固体骨格部および氷骨格部の面外方向の変位および表面力を未知量とする方程式であり,線形弾性体や飽和多孔質弾性体の力学モデルとの連成解析への拡張性を考慮している.その後,導出した境界積分方程式に対応する基本解を導出した.なお,本研究では材料の等方性を仮定しているため,基本解は解析的に求めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は,frozen porous mediaの波動論的特徴の把握に関しては,概ね計画通りに研究を実施することができた.一方で,波動問題に対する数値解析手法の開発では,実際に数値計算を行い結果を示すまでには至らなかった.しかしながら,対象とする数値解析手法の定式化までは完了しており,実際に数値計算を行う準備は既に完了していると判断できる.さらに,本研究では,frozen porous mediaと他媒質の連成解析への拡張も考慮しているが,これに関して,飽和多孔質弾性体の力学モデルと他媒質の連成解析を実施し,本研究の遂行上の課題となりそうな部分を整理している.以上の理由より,「(3)やや遅れている。」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,平成28年度に開発を行った数値解析手法を用いて,海底地層に存在するメタンハイドレート層の賦存状況の把握のための推定手法の開発を行う予定である.現時点で,平成28年度に予定していた数値解析手法の開発が完了していないため,はじめに数値解析手法の開発を行う.その後,海底地層に存在するメタンハイドレート層の賦存状況の把握のための推定手法の開発を実施する.推定アルゴリズムには,カルマンフィルタを用いる予定である.カルマンフィルタは,システムの設計自由度が高く,数値シミュレーションと組み合わせた推定手法の開発例も多数報告されている.また,推定手法の開発を通して,推定に有意な情報の抽出方法に関しても検討を行う.
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Causes of Carryover |
平成28年度は繰越金が発生しているが,これは当初投稿予定であった論文の投稿および参加予定であった学会への参加を見送ったことが原因である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は設備備品の購入を予定していない.旅費に関しては,成果発表のための学会への参加に使用する予定である.繰越金に関しては,平成29年度の論文投稿費と別の学会への参加費,東京工業大学のスーパーコンピュータTSUBAMEの利用料金としての利用を計画している.
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