2016 Fiscal Year Research-status Report
キャピラリー・バリア盛土の表面被覆層としての疎水材層の適用性評価
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16K18149
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 秉洙 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (90648601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疎水性地盤材料 / 保水特性 / キャピラリー・バリア / 連続加圧方式 / 水分特性曲線 / 親水性地盤材料 / 河川堤防 / ヒステリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,集中豪雨による河川堤防や斜面の崩壊が人命や財産の被害を生じ,社会的な危機感が高まっている状況である。よって,本研究では,不飽和土構造物である河川堤防や斜面などの浸透に対する安全性を高めることを目指し,疎水性をもつ土を用いて,長期的に高度な雨水遮断機能と排水機能をもつキャピラリー・バリア地盤材料の可能性について検証を行う。 平成28年度での研究では,まず試験試料として日本の標準砂である豊浦砂を用いてシラン処理により人工的に疎水性豊浦砂を作製した。これと同時に,地盤材料の保水特性を調べるため,既存の連続加圧方式の保水性試験システムに基づいて改良し,新たな連続加圧方式の保水性試験装置を製作した。その後,親水・疎水性地盤材料を用いて保水性試験を行い,得られた排水・吸水過程の結果に基づいてその保水特性を評価した. 本研究の結果として,連続加圧方式による保水性試験により,疎水性材料についても水分特性曲線(排水・吸水過程)を得る試験時間が短縮されることが確認された.また,親水性・疎水性砂の水分特性曲線結果の比較により,疎水性豊浦砂の方が空気侵入値と残留飽和度が親水性より高い値が得られることが示された.最後に,親水性豊浦砂と疎水性豊浦砂の水分特性曲線の比較により,空気侵入値と残留飽和度は疎水性の方が高いが,水浸入値の場合,親水性豊浦砂の方が高い結果が得られ,ヒステリシスが親水性より大きいという特徴を把握することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度【第1年度】では,「親水材をシラン処理することにより,研究期間全体で必要な量の疎水材を準備する。その後,土質物性実験により疎水材の物理特性を把握する。また,河川堤防や斜面は不飽和状態で存在するので,親水材と疎水材の不飽和土強度試験を実施する。最後に,保水性試験装置の設計や製作および実験を行う。」項目の研究計画であった。これらの研究計画の中で,現在「親水材と疎水材の不飽和土強度試験を実施」という項目のみ完了されていない状況である。よって,現在までの進捗状況の区分は,「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度【第2年度】の研究では,まず前年度の計画項目であった親水材と疎水材の不飽和土強度試験を実施し,完了させる。その後,第2年度の研究計画のとおりに,疎水材の キャピラリー・バリア(CB) 地盤材料として疎水材層を設置した室内模型実験を実施し,その機能性を評価する。室内模型実験では,室内土槽試験装置の製作が必要になるため,サイズや材質の選択が重要であると考えられる。また,室内模型実験での降雨の条件を再現させるためには,降雨システムの構築が課題になる。よって,研究協力者や関連の研究者との意見を求めて降雨システムを解決する予定である。 一方,室内模型実験と等しい条件として飽和・不飽和浸透流解析を行い,土中水の流動を予測し,この結果を用いて安定解析を行う。これにより,力学的・水理学的安全性・機能性を評価し,疎水材の CB 地盤材料として適用可能性を検証する。
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