2016 Fiscal Year Research-status Report
気候変動が海浜に及ぼす影響評価と適応策の検討-日本海沿岸をケーススタディとして-
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16K18157
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
澁谷 容子 鳥取大学, その他部局等, 特命准教授 (10632482)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気候変動 / 海浜変形 / 波浪の将来変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動に伴う沿岸外力の変化とそれらの影響評価が活発に研究されており、砂浜海岸においても、将来の気候における影響評価を行う必要がある。従来、温暖化における砂浜の影響評価は海面上昇に限ったものがほとんどであったが、本研究では、従来の海浜変形過程を考慮し、さらに海面上昇だけでなく波浪特性の変化も考慮した、力学的手法による将来予測を行っている。 平成28年度は鳥取砂丘海岸において、過去の地形データの解析を行い、地形変化特性を把握するとともに、モデルのキャリブレーションを行った。また、観測波浪および温暖化予測実験結果をもとに計算された全球波浪予測結果の現在気候と将来気候の解析を行った。波浪の将来変化については、平均波高の減少および夏季波高の増加、波向の変化などが確認できた。また、観測地と現在気候の比較により、波高・波向の頻度分布は類似していることを確認した。過去の地形データより、鳥取砂丘海岸の中央より、西側では鳥取港の拡張工事および防波堤建設後は比較的安定していること、また東側では人工リーフ建設後、安定傾向にあるものの、中央部付近(鳥取砂丘全面)では侵食傾向であることが確認できた。数値モデルについては、気候変動による波浪変化を考慮するよう、従来のモデルを改良し、現地データをもとにキャリブレーションを行った。現在、数値モデルで、現地データから得られて傾向を整理し、イベントごとの過去再現を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測波浪および予測波浪データの解析を行い、将来の外力変化について分析を行った。また、モデルの開発を行い、現在、過去再現を行っており、おおむね研究計画書通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
過去再現を行ったのち、波浪の将来変化を考慮し、将来変化予測および適応策の検討を行う予定である。また、シナリオやモデルの不確実性を考え、どの程度海浜変形が起こり得るのか予測幅についての検討も行う。さらに、現在の侵食対策がどの程度有効なのか否か、変化傾向が異なった場合の対策の検討など適応策の検討も行う。
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Causes of Carryover |
計算機および計算結果保存のためのHDD購入の予算を計上していたが,波浪予測結果のダウンロードに時間を要し、数値モデルを用いた計算を本格的に開始するのが少し遅くなったため。また,予定していた国際会議がイスラム国のテロ行為により開催が延期されたため,国際会議参加のための旅費が発生しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数値モデルを用いた計算を本格的に開始するため,計算機を購入予定(60万円程度).また,計算結果保存のためのHDDを購入予定。H29年度に成果発表のため国際会議に参加予定のため,旅費として支出予定(40万円).
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