2016 Fiscal Year Research-status Report
湾口フェリーの常時面的観測を用いたデータ同化による閉鎖性水域の3次元構造の解明
Project/Area Number |
16K18161
|
Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
松崎 義孝 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (10536684)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | データ同化 / 閉鎖性水域 / 湾口フェリー / 流動 / 水質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は海洋や沿岸域の流動・水質をシミュレーションする数値計算法と,流速,水温,塩分といった観測値をシミュレーションに入れ込む手法であるデータ同化手法を用いて,閉鎖性水域における流動・水質の3次元構造の解明に取り組むものである.初年度である平成28年度は用いる流動・水質シミュレーションモデルROMS(Regional Ocean Modeling System)及びデータ同化手法ROMS 4DVAR(4-Dimensional Variational (4D-Var) Data Assimilation)に習熟することを主要な目標とし研究に取り組んだ.具体的には,はじめにテスト計算を実施し,ROMS及びROMS 4DVARの習熟に努めた.次に,計算対象を東京湾とし,計算に必要な地形データ,湾口フェリー観測データ,計算境界での潮汐,流速,水温,塩分,風等の各外力データを収集,整理した.次にROMS及びROMS 4DVARを用いて東京湾の計算を実施するのに必要なデータについて,ファイル形式を変更するプログラムを作成した.以上により,研究実施に必要となる基本的なモデル,データ,及びプログラムが用意できた.次にROMSを用いて東京湾を対象としたデータ同化無しのシミュレーションを実施し,計算が実施できることを確認した.初年度であり論文等で公表できるような結果は得られていない.しかしながら,データ同化を用いた沿岸域の流動・水質の再現は実施すべき工程が多様であり,データ同化の理論や手法は非常に高度であるため,ここまで着実に研究を進めていることは意義が大きいと考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成28年度は用いる流動・水質シミュレーションモデルROMS及びデータ同化手法ROMS 4DVARに習熟することを目標とし研究に取り組んだ.前述の通り,研究は目標通りに進んでいると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も研究実施計画に則って,着実に研究を推進する.具体的には,東京湾と伊勢湾を対象とし,データ同化による流動・水質のシミュレーションを実施する.特に,湾口からの外洋水の流入が発生している時期,密度成層が発生する夏季及び冬季を対象に計算を実施する.計算結果について,東京湾及び伊勢湾内の複数個所に設置されているモニタリング機器で観測されている流向流速,水温,及び塩分とデータ同化結果が一致するかを確認し,データ同化手法の評価を行う.また,データ同化にはシミュレーションと観測の誤差の相対誤差を設定し,それに応じてデータを融合することから,誤差情報の解析が必要となる.計算を複数ケース実施し,計測器の誤差統計情報等を活用して,誤差の相対的な関係の整理を試みる.湾口フェリーのデータ同化のみで精度が十分に向上しない場合は,湾内の海表面の流動を観測しているHFレーダーの流向流速データ,湾内のモニタリング機器の流向流速,水温,及び塩分のデータについてもデータ同化を試みる.4DVARは多種多様な複数時刻の観測データを取り込めることを長所としており,多くのデータを同化することで精度向上が期待できる.
|
Causes of Carryover |
平成28年7月に米国の研究者と打ち合わせを行うために日程調整を行った結果,当初予定していた日程で打合せすることができないことが判明した.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
日程を再調整し次年度に打ち合わせを持つことを予定している.その際に旅費として使用することを予定している.
|