2017 Fiscal Year Research-status Report
利用者の異質性を考慮した動的混雑料金施策の構築と評価
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16K18165
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂井 勝哉 神戸大学, 工学研究科, 学術研究員 (80774778)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 出発時刻選択均衡 / 経路選択均衡 / 混雑課金 |
Outline of Annual Research Achievements |
道路利用者には様々な属性の人が含まれている.例えば,高速道路を使って料金を払っても早く着きたい人,渋滞していても安い経路を選択する人,朝は会社に必ず時間通りに付かなければならない人,多少遅れてもよい人,など様々だろう.本研究の目的は,そういった利用者の異質性を考慮した動的混雑料金施策の構築と評価を行うことであった.その中で,今年度は,昨年度に行った既存研究のレビューを参考として,本研究で用いる基礎理論の開発と方法論の構築をすることを計画していた.具体的には,経路選択を含むネットワークでも分析が可能である出発時刻選択均衡問題のモデルを構築し,学会発表を行うことであった. 今年度は,道路利用者に複数の属性の人がいることを想定し,混雑課金が及ぼす影響について,道路利用者の異質性による観点から分析を行った.昨年度から行っている内容として,出発地に異質性がある場合には,合流部での合流比をコントロールすることによってパレート改善を達成できることがわかった.別の異質性として,道路利用者の時間価値とスケジュール制約に着目したモデルも構築し,混雑課金による影響についても分析している. また,通勤による渋滞を対象としたモデルとは別に,余暇活動のためのトリップによる渋滞を対象としたモデルとして,目的地での時刻別滞在効用を表現できるモデルを構築した.なお,本成果は国内学会で発表を行い,専門家からモデルの数理的特性に関するアドバイスを受け,現在モデルの数理的特性を分析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
利用者の異質性として出発地を考慮したモデルによる分析は,昨年度から行っているが,今年度に査読付き国際ジャーナルへ掲載されており,順調に本課題に関する成果の情報発信を行っている. また,既存モデルを拡張した新たなモデルを構築し,国内学会発表しており,研究内容についても順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には,平成29年度に構築された応用モデルを用いて混雑課金を公平性・効率性の両観点から分析を行い,混雑課金の制度設計を行う. 平成31年度には,平成30年度までに構築されたモデルと混雑課金制度を取りまとめ,最終成果としてセミナー・ワークショップによる情報発信と意見交換を行う.
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