2016 Fiscal Year Research-status Report
テレマティクス保険を活用した抜け道交通抑制の可能性に関する理論的・実証的検討
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16K18168
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松尾 幸二郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50634226)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プローブデータ / 抜け道交通 / 生活道路 / マップマッチング / 交通静穏化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. プローブデータから抜け道交通の抽出をより精度良く行うため,プローブデータをデジタル道路地図の各道路リンクに紐づけするマップマンチング (MM) 手法の改良を行った.具体的には,これまで用いていた近接リンク法(各点データからもっとも近いリンクに紐づける方法)から,最短経路探索を用いた手法に改良し,MM精度が向上することを確認した.さらに,同トリップ内でUターンなどにより同一リンクを複数回走行した軌跡にも対応できるよう改良を行った. 2. 本研究で用いるパイオニア社製プローブデータが実際の自動車トリッ プに対して偏りがないかを確認するため,平成22年度道路交通センサスデータによる豊橋市内Cゾーンペア(17ゾーン× 17ゾーン=289ゾーンペア)間 OD 交通量と,パイオニア社製プローブデータから集計した同ゾーンペア間 OD 交通量とを比較した.結果として,両者の 間に強い相関関係(決定係数R^2=0.83)が見られ,当該プローブデータにおいて,豊橋市域全体でのトリップ傾向に大きな偏りは無いことが確認された. 3. 抜け道交通抽出アルゴリズムをパイオニア社製プローブデータに適用し,主に豊橋市内の抜け道交通の抽出・実態分析を行った.結果として,市全域においては,特に朝のピーク時間帯に抜け道距離割合(全トリップ距離に対する抜け道交通距離の割合)が高いこと,2~3kmの短距離トリップにおいて抜け道距離割合が高いこと,抜け道(生活道路)よりも周辺幹線道路を利用した方が時間が短かったと推定される抜け道交通が一部あることなどを示すことができた.また,特に抜け道利用が多い生活道路を抽出し,その原因の考察を行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,モデル分析により抜け道交通要因の影響の大きさを定量的に明らかにするところまで実施する予定であったが,そのためには精度の高いマップマッチングが必要不可欠であることが明らかになった.そのためマップマッチング手法の改良に重点を置く必要が生じ,抜け道交通実態の把握と要因の定性的な考察は行えたが,その要因の影響を定量的に明らかにするとこまでは至らなかった.以上のことから,「やや遅れている」と自己評価している.今後はモデル分析等により抜け道交通要因の影響の大きさの定量的把握を実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はモデル分析等により抜け道交通要因の影響の大きさの定量的把握を実施する予定である.具体的には,地域全体における抜け道距離割合といったマクロな指標を,愛知県内の市町村間で比較し,各市町村の道路ネットワーク特性と関連付けるとともに,豊橋市内においてプローブデータにより記録されている各トリップをゾーンペアに分類し,各ゾーンペア間における抜け道距離割合等の指標と当該ゾーンペア間の道路ネットワーク特性等との関連性について分析を行う.また,抜け道交通を抽出する上で,生活道路と幹線道路の分類をどのように定義するかについても課題があるということも分かったため,豊橋市道路行政と連携を取りながら,その定義づけについても検討を行う.
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Causes of Carryover |
当初は本予算によりプローブデータの購入を計画していたが,自己予算により購入ができたため,その部分が次年度使用額として生じている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,最終年度におけるフィールド実験に向けたWebアプリケーションの開発を計画している.そのための予算は次年度交付額においても計上しているが,より効果的かつ効率的に実験を遂行するための機能充実のために使用する計画である.またフィールド実験の被験者を当初計画よりも増やすことにも使用する計画である.
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Research Products
(3 results)