2016 Fiscal Year Research-status Report
三次元地図と衛星測位技術の融合による新たな都市部での高精度測位手法の開発
Project/Area Number |
16K18171
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 太郎 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (80710368)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | GNSS / GPS / マルチパス / 衛星測位 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,GPSに代表される各国の測位衛星,GNSS(Global Navigation Satellite System)の整備が急速に進み,測量をはじめとする計測分野,車両の制御や自動運転などのITS分野などで,社会に必要不可欠な基盤情報となっている.しかし,都市部における衛星測位ではマルチパスと呼ばれる大きな測位誤差が発生し,現在までにこの有効な解決手段は示されていない.本研究では,この問題を解決する全く新しい衛星測位手法の研究を行う.具体的には,GNSSと事前に得られた三次元地図データベースを統合することで,建物の影に隠れた衛星のマルチパス誤差を低減し,これまで不可能であった都市部における高精度測位を実現することを目的とする.
これを実現するために,本年度はまず航空レーザ測量データからの三次元都市モデル自動生成と可視衛星の識別を実施した.航空レーザ測量の発展により,現在多くの都市部で航空レーザ測量による三次元点群情報が整備されている.本研究ではこれを利用して,GNSSによる測位技術との統合を行う.ここで,GNSSの可視性,マルチパス経路を三次元情報から計算するには,三次元点群から,建物の面,エッジ抽出する必要がある.これを本研究では三次元都市モデルと呼ぶ.航空レーザ測量により得られるデータは,ランダムな三次元点群である.そこで本研究では,三次元点群からエッジ特徴量を算出し,得られたエッジ特徴量を組み合わせることで面の抽出を実現し,三次元都市モデルの構築を実施した.さらに,三次元都市モデルからの衛星の信号の伝播経路を算出するレイトレーシング手法により,三次元都市モデル中の任意の位置で,高速に衛星の可視性やマルチパス経路を算出する手法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった航空レーザ測量データからの三次元都市モデルの自動生成と可視衛星の識別は問題なく達成できた.さらに次年度の目標であるパーティクルフィルタを用いたGNSS測位技術の開発も,一部実施した.このため本研究は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として,本研究の核になる三次元地図とGNSSの統合により,位置を推定する手法の開発を行う.Particle Filterを用いることで位置の仮説を生成し,それぞれの位置の仮説(Particle)において,その尤もらしさ(尤度)の計算を行う.真値に近いパーティクルにおいては正しく可視衛星の推定ができていると考えられ,その結果,可視衛星のみを用いて計算した測位結果は,真値に近い位置(元のパーティクル位置)に測位結果が現れると考えられる.一方,真値から離れたパーティクルでは,可視衛星の選択に失敗し,この場合マルチパス信号を測位計算に含んでいるため,測位結果は真値から離れ,元のパーティクル位置と測位結果の間の距離は大きな値となる.以上により,それぞれのパーティクル位置とそれぞれのパーティクル位置において三次元都市モデルから推定した可視衛星を用いた測位結果との距離を評価することで,パーティクルの尤度を決定する.さらに,Feedback機能をもつParticle Filterを適用し,Particleの収束を早める.
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Research Products
(1 results)