2016 Fiscal Year Research-status Report
アジアの環境・エネルギー・食料に関連する持続可能な開発目標の定量化
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16K18177
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
藤森 真一郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 研究員 (80585836)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 気候緩和策 / パリ協定 / INDC / エネルギーシステム / SDGs |
Outline of Annual Research Achievements |
パリ協定が2016年に発効したことから、初年度はパリ協定の短・中期的な影響と、長期的な影響について解析を行った。短・中期的な影響については各国が提出した約束草案が主として2030年を対象にしていることから、2030年までのエネルギーシステムやマクロ経済への影響をアジア各国について分析し、排出権取引の有効性について明らかにした。分析には応用一般均衡モデル(AIM/CGE)を用いた。 主たる結果は以下の通りである。いわゆる成り行きシナリオとパリ協定の排出目標下でのシナリオを比較すると、アジア諸国の多くの国ではエネルギーシステムの変更、とくに再生可能エネルギーの導入が必要であるが、それは経済発展を大きく阻害するものではなかった。また、排出権取引は世界全体での緩和策費用を80%と大幅に減らせることが明らかになり、今後の国際的な排出権取引制度で本件が考慮されることが期待される。 長期的な分析ではパリ協定目標を通過する場合と、より削減を速めて行う場合を比べると21世紀中盤から後半での温室効果ガス削減量が異なり、2030年のパリ協定からより削減を深堀することで、21世紀後半の排出削減が緩和され、長期的な緩和費用は下がることがわかった。また、バイオマスや植林といった土地利用改変を伴う緩和策への依存が低下することがわかり、短期的な排出削減をより進めることの効果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パリ協定に関する分析を各国の政策を反映させながら分析するという気候緩和策の評価は予想よりも進展した。ただし、様々な分野の解析、例えば水需要や食糧需要などをすすめられていなかったので、総じて中程度の進展と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はエネルギー以外の分野、例えば水、農業分野などを解析の対象として広げる
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Causes of Carryover |
大型計算機の購入を予定していたが、他予算により賄うことができたので繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は学会発表などで欧州往復が何度か想定されており、それに充当することを想定している。
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Research Products
(11 results)